ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

吉良の性癖

ジョジョ4部 吉良でいちばん印象に残っているのが、助けにきた女医に自分の性癖を告白するシーン。

モナリザで勃起、手のとこだけ切り抜いて飾っていた。あなたのも、切り抜きたい…。

今まで48人の手のきれいな女性を殺しました。私の秘密を知るのはあなただけになるッ!

 

今思うと、48人の手のくだりは忠臣蔵へのオマージュだろうか。日本人の悪役として、吉良上野介から名前を持ってきた? と初見時にも思った。

吉良には、母親にかわりがりすぎる虐待を受けていた、父親も見てみぬふりをしていた。そのねじれた過去が、ゆがんだ性行動をとる下地となった というような裏設定があるらしい。

個人の内奥にあるような、性的な、心情的な、家族にまつわる歪みを引き受けて、吉良のキャラクターは形作られたのだろう。

 

1~3部は世界を股に駆けた大冒険で、外交的というか、キャラクターたちが外へ外へ、地平線の遠く、空のあなたまで、どんどんと飛び出して旅していくような印象があった。

一方の4部は、内に内にこもっていく話で、ひとつの街の中の、ふだんどおりと変わらないある年の春から夏までを描いた話だ。

内向的にこもっていく、人間の悪のありよう。世界を支配しようとするDIOやカーズとは違うベクトルの悪として、吉良の性癖は構想されたのだろう。

 

4部をはじめて読んだのは高校生、ちょうどジョウスケと同じ年に高校に入学していた。異常性癖の知識はあったので、吉良のことはそういうキャラクターとして見ていた。

小学生ぐらいの、性の知識がまだ無い子供が吉良のエピソードを読んで、性の目覚めのとっかかりとなったこともあるのだろうか?

今やってる8部も、ちょうど上記4部のテーマを焼きなおし、語りなおしている所があるが、小学生~中学生くらいの初見の読者にどんな印象を与えるのか? ちょっと興味がある。