ジョジョのドラマを概観していると、
父と子のドラマ、なかんずく父親不在によるドラマが、キャラクターの人格形成に寄与していることに気付く。
1部 ジョナサンとジョージ1世、ディオを交えた家督相続のドラマ。
2部 父親母親が不在で生まれ育ったジョセフ。明るい性格の裏。
3部 母親を救うため、エジプトに旅立つ承太郎。
4部 父親不在で生まれてきたジョウスケ。父親が肉塊となった億泰。父親が幽霊となってつきまとう吉良。
5部 父親不在で生まれてきたジョルノ。
6部 父親を信じられなかったジョリーン。
7部 家業に疑問を持ち、アメリカ横断レースに参加したジャイロ。父と分かり合えなかったジョニィ。
他にも、家族関係を基盤にしたキャラクターはいくらもいる。
ジョジョ自体が、父から子へ、血統が受け継がれていく物語なのだから、父と子の相克が主眼となるのは当然かもしれない。
各部を概観して意外なのは、承太郎のみが家族に恵まれ、(父ではなく)母を救うため物語を出発させる所だろう。
空条貞夫が物語に登場しなかったのは、彼が現れると「なぜエジプトへの旅に貞夫も協力しないのか?」と視点がぶれるし、承太郎と母親の繋がりを描くことが目的であって、父親はいなくてもドラマは成立する、と考えたのではないだろうか。
荒木先生自身は、双子の妹にハブられることで人間不信に目覚め?、マンガの世界にのめりこんでいった一幕もあったという。
ご家族のプライバシーに関心はないが、いわゆる核家族的な、冷たい孤立した家族関係が、ジョジョ主人公たちの生い立ちに投影されているのかもしれない。
「仲良い家族なんだけど、自分自身は孤独を感じる」はおそらく普遍的なテーマで、自分自身も共感するところがある。