ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

ジョジョリオン8巻の感想

ジョジョリオン8巻が発売されていたので、買って読みました。

 

夜露戦が終わって、登場人物をめぐる「謎」が「岩石になる病気」で一本化され、東方家 次期家長の常敏が登場。クワガタムシを使ったムシバトルで駆け引きを進めていく…と、次巻が楽しみになる展開だった。

 

ジョジョリオンについては、ウルトラジャンプを毎月買うことはせず、コミックスを読んで展開を追いかけているのですが、

読んでいる時に「週刊連載に較べて、コミックスあたり・ページあたりの展開が遅くなった」「ページあたりの熱量・情報量が減ったかな」と感じることがある。

 

ジョジョ 3部以降の展開は、スタンドバトルを中心に「敵が現れる→スタンドの謎を解き明かす→駆け引きの末、敵を倒す」を4~6週でワンエピソードを描き、このサイクルを繰り返すことで話を進めていった。

連載1年目は物語の基礎設定を描く序盤、2年目が話が膨らみ展開する中盤、3年目がクライマックスを駆け抜ける終盤、と3年単位・コミックス20巻前後を基本単位として、各部の物語が描かれてきた。

ウルトラジャンプに移って月刊連載となり、ジョジョ展ほかの企画協力に時間が割かれることもあり、ページ生産のテンポは遅くなってきた。作者の年齢による影響もあると思う。

 

今のジョジョリオンは、作者がある程度年をとって(おそらく)社会的・精神的に満たされてある程度満足したのだろう事情があって、20代のときのような、鋭さ・ハングリーさ・熱量というものは減少している。

作者なりの「老い」、経年変化による自然な変遷を楽しむのが、ジョジョリオンを読む適切な態度なのだと思う。

絵の迫力が減って、キャラクターの表情に今一つ精気や妖しさが減ってしまったのが寂しいのだけど、これはしょうがないのかなとも思う。

 

 

連載1エピソードごとに「敵を倒す」「謎が明らかになる」「物語が一つ、前に進む」という達成感があって、物事がクリアになる気持ち良さを得て、ますます次のエピソードを読みたくなる、という塩梅でジョジョの物語は描かれてきたと思う。

 

その意味で、ジョジョリオンは「主人公の出自の謎を明らかにする」がクライマックスに置かれているためでもあるのか、「敵を倒す」「謎が明らかになる」のカタルシスが低く、小さな謎が毛玉状に絡まったまま次の謎がからまっていくような感じがあって、モヤモヤ感が残る。この辺りは、連載が完結してどう評価が変わるか?とったところだろう。

コミックス8巻までで、桜次郎から夜露まで、スタンドバトルのエピソードは6つだった。週刊連載なら、6週×6エピソード=36週、1年ほどの連載でこれまでの展開が描かれていただろうか?と思うと、連載のテンポが遅くなったなあと感じてしまう。この点も、コミックスが完結して一気読みができるようになった時点で、評価がまた変わるのだろう。