読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

「ウラのウラはオモテ」  XTCが体現する、イギリス的価値観

ジョジョのルーツを探る ジョジョと音楽

ジョジョ、荒木作品の根底にあると思われる「ブラックユーモア」、
「イギリス的価値観(English Settlement)」についての断片的なメモです。

ジョジョと、その周辺にある諸作品(極個人的な意味で、自分の経験・感性の中で、近しい位置にある諸作品)を語るのが、このブログの主な目的になっています。
ブログ読者の方には、あまりまとまりのない記事・情報となっているかもしれず、申し訳ありません。


(なお、XTCはイギリスのミュージシャンで、ポップ/ロックに属し、80~90年代に傑作を発表しました。
アンディ・パートリッジのソングライティングに定評があります。)


 ***


XTCの歌、アンディ・パートリッジが体現するキャラクターには、
「ウラのウラはオモテ」と言うべき不思議な明るさ、したたかさ、悲しさと明るさが同居したような感覚がある。

個人的には、しっくり馴染む感覚で、ジョジョおよび荒木作品にも、似たテイストを感じる。
箇条書きで、連想するところを記していく。



・9月中旬 子供と近所の山を登山した時、XTCの歌を口ずさんでいた。歌を歌いながらの登山は楽しい。
山登り(人生)は、天国と地獄の連続。
アップダウンが絶え間なく繰り返し、登ったと思えば下り、良いこと悪いことが絶え間なく続く。

イッテQ登山部の貫田氏は、雪積る山間のテントを「天国」と評し、イモトに「天国じじい」と評された。
自分たちが山に登った時も、たまたま同行したお爺さん達の、一定速度で山間をたゆまず歩き続ける姿に、天国じいいの「真価」を見た思いだった。


・XTCの歌の明るさは、かつてI先生が説いた「子供が一通り泣き伏した後の、静けさと明るさ」に似ている。

マルクスは、「歴史は繰り返す。一回目は悲劇として、二回目は喜劇として」と説いた。

アインシュタインは「同じことを繰り返しておきながら、異なる結果を期待するとは、きっと頭がどうかしているのでしょう」と発言した。

・XTCの醸し出すアイロニーは、荒木先生の提唱する、ホラー映画的世界観と似ている。
死を受け入れる、ある種の諦観。不安と共に生きる、サスペンス映画の人生観。

鳥山明の描く、明るくも不穏な世界。

ヒッチコック監督が好む、イギリス人のブラックユーモア。
「ハリーの災難」に顕著だという、イギリス人の「アンダーステートメント」。
恐ろしい、シリアスな事柄を、控えめに語る。
(ハリーの災難は、死体を取り囲み、隠匿しようとするブラックコメディー)



XTCの曲とアンディ・パートリッジには、イギリス人のユーモアセンスが溢れている。

例えば、中島みゆきの「地上の星」は、中年男性なら誰もが感動できるだろう名曲だが、
同じテーマで、アンディパートリッジはAcross This Antheapを作ってしまう。

(極個人的な妄想としては、この2曲はテーマ・構成ともによく似ており、
Antheapを聴いた中島みゆきが、自分の体内で咀嚼し直して、地上の星を書いたのではないかと思っている)

キン肉マン Go Fight!の一節「ああ、心に愛が無ければ スーパーヒーローじゃないのさ」は誰が聴いても胸が熱くなるが、
アンディの歌うヒーローソングはThe Mayor of Simpletonであり、the mayorが自民党を押しのけて、市長に当選するとはどうしても考えづらい。


XTCのちょっとはみだした感じ、孤独な感じは、荒木作品のキャラクターの孤独感と重なってるところがある。
キン肉マン Go Fight!が真っ向から愛と友情を訴えて、それで成立してしまうのは、
作者 ゆでたまごの才能の凄さであるし、彼らがタッグを組んで、二人で漫画を描いている事実にも由来すると思う。

荒木先生は、基本的に一人で漫画を描いていて、
思春期に抱いた孤独感をバネに、自作のキャラクターや世界観を産み出してきたようなので、
その辺りは、キン肉マンとは大きく個性が異なっている所なのだろう。

ただし、荒木先生とジョジョの世界観が、XTCとベストマッチしているか?というと、必ずしもそうではないと思う。
荒木先生に合うアーティストを一人だけ挙げるならば、多分それは、プリンスになるだろう。

パープルレインからラブセクシーくらいまで、80年代の諸作品はとりわけ素晴らしく、
明るく前向きで、ちょっとひねくれていて、理想を追い求めるのに一生懸命な感じが、ジョジョとプリンスはよく似ている。

今 思いつくところで一曲だけを選ぶと、Pop Lifeが、ジョジョとプリンスを最も力強く象徴している。

 

「ウラのウラはオモテ」というアイロニーについて。

イギリス人に限らないと思うが、たぶん、歴史のある国は強い。どん底を経験した人間は強い。

人間にとって、最大の恐怖は死であろう。
死を笑いものにできるブラックユーモアの豊かさ、効用。
自分自身を突き放し、笑い者にできる強靭さ・したたかさは、知性のひとつの結晶であると思う。



 
追伸:

ジョジョを巡るキーワードで、当ブログへのアクセス解析を見ていると、
ジョジョ 気持ち悪い」「ジョジョ パクリ」等が多くあります。

連載当初から、ジョジョはたびたび、映画・小説等からのパクリ/オマージュが指摘されてきました。

果たして、XTCのアンディパートリッジは、「オリジナリティー」というものをどのように捉えているのか?
自分も唸り、頷かされたのですが、アンディの答はこうです。

「オリジナリティーとは自分が影響を受けた音楽をめった切りにすること。
自分のヒーローを肉挽き機に押し込む。出てくるものは独自のサウンドに聴こえるが実はヒーローの生の牛肉から作られたもの」


下記リンク「世界最高のバンドXTCよ永遠なれ!!!」にて、インタビューの全文翻訳が読めます。
ご興味のある方はどうぞ。
http://long-live-xtc.seesaa.net/article/410967871.html