ゲームや映画の話題を離れて、ひさしぶりに、ジョジョリオンのことを書きます。
ウルトラジャンプ 最新号が発売され、吉良とジョセフミが過去に出会ったときの話を読んだ。
公園のベンチでジョセフミと吉良が語り合うシーンは印象深く、久しぶりに「カッコいい男の横顔」を拝んだ感じがした。
ジョジョの連載で、1話まるごとが過去の回想にあてられたことは珍しく、
他にはたしか、6部 ウェザーとプッチの過去を振り返る話くらいしか無かったかと思う。
過去のエピソードは(物語の展開上)すでに過ぎ去った出来事であり、簡潔な説明で、要点だけテンポよく抜き出していく描写が良い。
幼児だったジョセフミは母の愛に恵まれず、命を助けられたホリーさんを慕うようになり、
ホリーさんの命の危機に、(スタンド仲間として仲良くなった?)吉良と共に立ち向かう。
ジョセフミのセリフと言動、シャボン球スタンドを使って木の枝を接合するシーンに、
ジョセフ・ジョルノを思い起こさせる聡明さがあり、今後を期待させて盛り上がる感じになっている。
ジョジョリオンは連載50話達成、(ウルトラジャンプ掲載の最新話で)コミックス12巻までページ数が進んでいる。
物語が佳境に入りつつあり、クライマックスに向けて伏線を畳みはじめている。
ここで、これまでのストーリーのアウトラインを振り返り、描かれた「謎」(伏線、エピソードの積み重ね)を整理してみたいと思う。
手元にコミックスは置かず、うろ覚えの箇条書きで振り返っていきます。
●ジョジョリオン 50話までの、ストーリーのアウトライン
・主人公、壁の目で康穂に発見される
・主人公は、吉良吉彰と関わりがあったらしいことが分かる。4玉は、二人の融合を示す
・主人公が、東方家に居候をはじめる
・ホリーさんは病気をしている。吉良の一族と東方家に、何か関わりがあったらしいことが分かる
・ジョニィと東方家の物語を知る。壁の目は、聖なる遺体のパワーが関わっているらしいことが暗示される
・東方家の嫡子たちが、石化病に襲われ、苦しんできたことが分かる
・岩人間 夜露が現れ、主人公・東方家と敵対していたことが明かされる
・東方憲助は家を守るため働いており、主人公の味方らしいことが示される
・ロカカカの実が登場し、東方常敏が岩人間と関わっているらしいことが示される
・ロカカカの実を巡って、主人公、東方家、岩人間の争いが始まる
・カレラが現れ、主人公の過去(吉良とジョセフミ、カレラの関わり)が明らかになり始める
・吉良とジョセフミ 主人公が壁の目に埋まり、記憶喪失となるまでの過去が明らかになり始める
ーーストーリーのアウトラインは、大体こんなところだったと思う。
●ジョジョリオンで今後 気になる物語上の「謎」は、下記の3点です。
・主人公は何者なのか?
吉良とジョセフミの過去と、2人が一つになったことの意味。
・東方家は石化病を克服できるのか?
ロカカカの実と代々続く呪いの病は一体何なのか。
・杜王町は震災から復興できるのか?
壁の目が隆起した謎が明かされ、町の住民たちは平和で安心な暮らしを手に入れられるのか。
反対に、小ネタというか、これまでのエピソードごとにちりばめられてきた伏線で回収されないだろうもの、
謎が謎のままで残されるだろうもの、辻褄が合わないまま置いておかれるっぽいものを挙げていくと…
・桜次郎との戦いの最中、主人公の脳裏に蘇った「謎の男」
・吉良の住んでいたマンションで、桜次郎が女の子にSMプレーを仕込んでいたことの意図
・謎のマーク(出版社のマーク)が、吉良の死体や東方家に刻まれていたこと。誰が仕掛けたのか?
・虹村さんは、何を狙って東方家に潜入していたのか。ホリーさんと東方家にどんなトラブルがあったのか?
・康穂が新聞記事で読んだ、宝石を持ったまま海岸に流れ着いた幼児の謎
・東方家の地下室で、ジョセフミは過去に軟禁されていたのか?つるぎちゃんと面識はあったのか
・夜露が死の間際「定助は東方家に裏切られて死ぬ」と吐き捨てたが、夜露は何を知っていたのか
ーー書き出しながら振り返っていくと、
つるぎちゃんが登場し、夜露が現れたあたりがストーリーの組換えポイントで、
1エピソードごと・連載1話ごとに、話のつながりがおかしく、前後が繋がらないところがあった。
地下室の扉から、つるぎの母らしい人が覗き込んでいる / 夜露の目からサランラップ / 康穂はどのように夜露に監禁され、1~2日 どのように過ごしていたのか など。
ジョジョの過去のエピソードでいうと、
SBR 2ndレースに突入してスタンド使いが現れ始めたあたり、ポルポが自分の指を食っていたあたり、レッドホットチリペッパーを倒した後の空虚感など、
ストーリーの流れがまだ出来上がっていなくて、キャラクターがどこに行くのか 読んでいて掴めず、エピソードがバラバラに散らかっている感じがしたものだった。
SBRなどは、少年ジャンプでの連載(4巻 オコエモバとの戦いまで)が終わって、ウルトラジャンプに移籍するにあたり、
明らかにストーリーを組み換えて(聖なる遺体と大統領の設定を追加し)、グッと面白くなって続きが再スタートした。
荒木先生は、連載漫画はときに間違えるのも味のうちとして、
ミュージシャンのライブ演奏や日記執筆と同じように、月々の漫画連載を描きつづけているとのことで、
物語の完結後 結果的に、回収されない伏線があったり、エピソードの辻褄が微妙に繋がらなかったり、放置された箇所が出てきてしまうのは、これはしょうがないことだろうとも思う。
マンガの創作に限らず、日々の生活や仕事に敷衍して考えても、
ある日 思いついた着想や考え、ある日に発言し実行した仕事が、未来永劫 追加・訂正を加えず正しいままであり続けるということは無い訳で、
人間の仕事は、どんなものでもトライアンドエラーの連続であるだろうとは思う。
ジョジョリオンは、2時間映画でいうと、1時間10分くらいを過ぎて、
物語の設定が出そろい、キャラクターの考え方も理解できて、主人公たちの行く末に興味・愛着がだんだん湧いてきたくらいの時点だと思う。
ストーリーの幹がグググッと盛り上がって、枝葉末節を精緻に作り込みながら、クライマックスに導いていってくれることを期待したい。
ウルトラジャンプを毎月買うかは分からないけど、コミックスはだいたい発売時に買って読んでいきたいと思っています。