ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

マンガの基本4大構造から探る、ゲームの面白さと独自性

荒木飛呂彦の漫画術」によれば、マンガには「基本となる4つの構造」があり、
重要な順に、キャラクター、ストーリー、世界観、テーマ 4つの要素が存在する。
これらは互いに影響を及ぼし合って存在し、これらを増幅し統括するのが絵とセリフである。

マンガ読者の目に見えているのは絵(紙面)であるが、
その奥にはキャラクター、ストーリー、世界観、テーマがそれぞれにつながり合って存在している。
この構造はいわば、ひとつの世界の営み、宇宙とも言えるのではないかーーと述べられています。

荒木先生はマンガを「最強の総合芸術」と考えているとのことで、

「基本の4大構造」プラス「絵」プラス「言葉」を同時に表現することができ、かつ、その全てを独りで漫画家は創作せねばならない。
そのようなメディアはマンガだけだと、力強い自負が著されています。


基本4大構造の図式は、マンガに限らず、いろいろなものに拡張できる概念だと思う。
この記事では、ゲーム(テレビゲーム)に基本4大構造を当てはめて、モノづくりの面白さを探ってみたい。


 ***


私が考える、ゲームの基本4大構造は、下記のようなものです。


・ゲームの基本4大構造

キャラクター:キャラクターの操作性。敵キャラクター・味方キャラクターとの絡みで、自分自身は何を操作できるのか

ストーリー:ゲームのシステム、ゲームバランス。ゲームの目的、目的を達するためのプロセスはどのようなものか

世界観:ゲーム内で描かれる世界のありよう。プレイヤーに訴える雰囲気、印象、情感。

テーマ:ゲームの遊びどころ、キモ。一言でいって、何をしたいためのゲームなのか


そして、これら基本要素を具体的に表現するのがコンピュータであり、
プレイヤーとコンピューターの相互のやりとりの積み重ねが、ゲームを遊ぶ行為である。

総合芸術として、ゲームの独自性は、
プレイヤーがコントローラーを操作し、操作した結果が(計算を経て)モニターに反映され、
これに基づきプレイヤーが次の操作を考え実行するという、一連のインタラクティブなアクションにある。

アクション・シューティングだけでなく、ロールプレイング、シミュレーションなどジャンルを問わず、
コンピューター(あるいはコンピュータの背後にいる、ゲームマスター)とプレイヤーの相互のやりとりの面白さこそが、ゲームの面白さの本質である。

ゲームは「見るもの」でなく「プレイするもの」であり、
その点でゲームは、マンガ・小説・映画よりも、演劇・コンサート・アトラクション施設・スポーツに近い。
トランプや将棋、鬼ごっこやしりとりなど、人間同士で遊ぶさまざまなゲームも、テレビゲームの大きな母胎となっている。


以下 思いつくままに、星5つ×4項目=20点満点でゲームの星取り評価を列挙していきます。


光神話 パルテナの鏡
キャラクター:4

ストーリー:2

世界観:4

テーマ:3

総合13点
寸評:キャラクターやゲームステージの設定は面白いが、ゲームバランスが悪く、序盤が難しく後半が拍子抜けする。


悪魔城ドラキュラ(初代)
キャラクター:3

ストーリー:4

世界観:5

テーマ:4

総合 16点
寸評:主人公の操作感に馴れる必要があるが、ホラー映画に準拠した世界観の演出、グラフィックと音楽の盛り上げ方がピカイチ。


ゼルダの伝説(初代)
キャラクター:5

ストーリー:4

世界観:3

テーマ:5

総合 17点
寸評:序盤のパラメータの低さ、ヒントの少なさは辛いが、「謎を解き明かす」「勇気と知恵で、ダンジョンを攻略」する楽しみが詰込まれている。


ゼルダの伝説 神々のトライフォース
キャラクター:5

ストーリー:5

世界観:4

テーマ:5

総合 19点
寸評:あらすじ的な意味のストーリーではなく、アイテムを収集しダンジョンを突破していく、その積み重ね・プレイ履歴がストーリーとなっている。


ドラゴンクエスト
キャラクター:5

ストーリー:5

世界観:5

テーマ:5

総合 20点
寸評:ゲームの難易度、緊張感がベスト。新たな世界が創り、拡げられていく瞬間の感動が詰込まれている。


・MOHTER3
キャラクター:3

ストーリー:3

世界観:1

テーマ:1

総合 8点
寸評:類型的で、投げやりな駄作。サウンドバトルでボタンを押すと、なんとなく気持ちいい感じがすることくらいしか褒める点が無い。


オバケのQ太郎 ワンワンパニック
キャラクター:1

ストーリー:1

世界観:2

テーマ:1

総合 5点
寸評:Q太郎の操作に浮遊感・爽快感が無く、イヌの鳴き声にやられる理不尽さに、頑張ってクリアする気を削がれた。


スーパーマリオブラザーズ
キャラクター:5

ストーリー:5

世界観:4

テーマ:5

総合 19点
寸評:ドラキュラやロックマンをやっていて、「あれ、マリオのように飛べないのか?」と思ってしまう。それくらい身体に刷り込まれている。


ドンキーコング(初代 ファミコン版)
キャラクター:3

ストーリー:2

世界観:3

テーマ:4

総合 12点
寸評:テレビゲームの偉大な原点であるが、今プレイすると全3面で、ボリュームが少なすぎた。マリオが高く飛べないのに違和感。


テトリス
キャラクター:4

ストーリー:5

世界観:4

テーマ:5

総合 18点
寸評:ブロックをクルクル回して落とす、瞬時の計算と操作が噛み合った気持ち良さは他に替えがたい。


ジョジョの奇妙な冒険(SFC)
キャラクター:2

ストーリー:3

世界観:5

テーマ:3

総合 13点
寸評:原作マンガのファンという視点では、楽しんでプレーできた。原作を知らない人にはお薦めできない。


ーーこんな感じです。
ジョジョドラゴンボール、バタ足金魚、AKIRAなどのマンガ作品にも、同様の星取り評価を付けていくことができると思う。
「数字」というものは、抽象物でありながら、数を積み重ね較べることで何となく具体的な、定量的な説得力が出てきてしまう。
不思議なものだと思う。

ゲームやマンガの感想は、根本的に、読者 個々人の自由な意思に委ねられるべきものですが、
世間のレビューサイト・口コミサイトが繁盛するのも、また一方で、人間社会の自然な意思形成なのだろうと思う。