ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

ジョジョリオン53話 過去編が完結し、「無かったことにされるだろう伏線」を整理する

ジョジョリオン 53話、ジョセフミと吉良が壁の目で一体化するまでの話を読んだ。

過去編の展開はとても面白く、2人の友情と信頼、経済ヤクザたるダモカンの迫力に恐々としながら引き込まれて読んだのだが、
コミックス1巻~11巻まで描かれたエピソード、細かく散りばめられた伏線と、どうにも辻褄が合わないところが多数出てきてしまった。

私 個人としては、マンガは「面白ければ、それでよい」ほうで、
マンガは創作物なのだから、時系列や展開の論理的整合性はある程度あればそれでよく、
ストーリーやキャラクター、テーマがクッキリ浮かび上がって、読者の胸を打つ印象的なものが有るかどうかが何より大切だと思う。

(そもそも、設定や論理的整合性がいくら矛盾無くキッチリ出来ていても、面白くない作品だったら読まないし、読んでも印象に残らないだろう)

しかしながら、ジョジョリオンは、
主人公の出生の謎や、東方家・吉良家を巡る現代日本の闇を探るミステリーとして構想されたと思しき作品であり、
謎や伏線があまりに散らかり過ぎて、メチャクチャになってしまうのも残念な気がする。

来月号 最新話を読むまでのヒマつぶしとして、また、一つの想像する楽しみとして、
ジョジョリオン 53話までに描かれた謎と伏線を、振り返ってみたいと思う。


ーー以前 ジョジョリオン50話(ジョセフミが海で溺れて、ホリーさんと吉良に助けられる話)を読んだときに、
ジョジョリオンの謎と伏線について、箇条書きでメモを起こしました。
この記事では、これらを基に、私自身の予想を記してみたいと思います。



ジョジョリオンで今後 気になる物語上の「謎」は、下記の3点です。

・主人公は何者なのか?
 吉良とジョセフミの過去と、2人が一つになったことの意味。

・東方家は石化病を克服できるのか?
 ロカカカの実と代々続く呪いの病は一体何なのか。

杜王町は震災から復興できるのか?
 壁の目が隆起した謎が明かされ、町の住民たちは平和で安心な暮らしを手に入れられるのか。



●反対に、小ネタというか、これまでのエピソードごとにちりばめられてきた伏線で回収されないだろうもの、
謎が謎のままで残されるだろうもの、辻褄が合わないまま置いておかれるっぽいものを挙げていくと…


・桜次郎との戦いの最中、主人公の脳裏に蘇った「謎の男」

→謎の男は、おそらく、ジョジョリオンにはもう出てこない。

吉良吉影の死・定助の誕生をめぐる場面の、キーキャラクターとして登場を匂わせていたと思われる。
しかし、53話までの過去編で、定助の誕生は描かれてしまったので、このキャラの出番は無くなってしまったのではないか。

もしかすると、まだ現れない「第6の岩人間」として、謎の男が登場するかもしれない。


SBRで、オーダーメイド帽子を買ったのは誰なのか?

→51話 2011年初頭~夏頃までの期間に、ジョセフミと吉良が、病床のホリーさんに面会していた。
このとき、吉良は「あたらしい帽子を買ったよ」と話していたが、これが(2話で登場した)SBR オーダーメイドの帽子で、
おニューの帽子を被った吉良がホリーさんと面会し、その後 マンションで桜次郎の襲撃に逢い、女の子と共に監禁されたのだろう。
(桜次郎の襲撃から脱出した後、吉良はジョセフミとヨットに乗り、そしてダモカン達に襲われた)

2話で、帽子屋さんが「(数日前に)吉良さんが帽子を買いにきました」と証言していたのと時系列が噛み合わなくなってしまう気がするが、
後に書かれた51話の描写のほうが、正しかったことになってしまうのだろう。



・謎のマーク(出版社のマーク)が、吉良の死体や東方家に刻まれていたこと。誰が仕掛けたのか?

→2chで「ペイズリーパークの能力が発現して、主人公たちを家系図に導いたのではないか」という考察があった。
素晴らしい解釈で、合理的・納得できるので、それが正しいのだと思う。

康穂や常秀が、壁の目で、何者かに噛まれたような歯型が付いて、スタンド能力が発現したのは、
壁の目に残された、聖なる遺体のご加護の影響なのだろう。


・虹村さんは、何を狙って東方家に潜入していたのか。ホリーさんと東方家にどんなトラブルがあったのか?

→ダモカンによれば、吉良と憲助に何かしら繋がりがあったらしいことが示されている。

吉良一族(吉良、ホリーさん、虹村さん)と東方家の争いは、今後 描かれるキーモチーフとして残されてあるのかもしれない。
東方家の一族の内、跡継ぎの長男である常敏、その嫁、孫のつるぎの物語がまだ語られていないので、
この辺りと絡めて、「誰がロカカカの実を手に入れ、呪いの病を克服するのか?」で、クライマックスのストーリーが描かれるのではないだろうか。


・康穂が新聞記事で読んだ、宝石を持ったまま海岸に流れ着いた幼児の謎

→荒木先生のお気に入りの映画に「アイズ・ワイド・シャット」があり、エロをモチーフとした分析困難な異世界が描かれているという。
「アイズ~」では、映画の本筋とは繋がらない、小さく、しかし意味不明で不穏・不気味なエピソードが散りばめられているとのことで、
宝石を持った幼児は、これと同じく、杜王町をめぐる不穏な雰囲気を醸し出すためのミスリード、本筋に絡まない小ネタだと思う。


・東方家の地下室で、ジョセフミは過去に軟禁されていたのか?つるぎちゃんと面識はあったのか

→たぶん、無かったこととして、無視されるような気がする。
もしくは、生前 吉良と憲助らが繋がっていた描写を示す中で、「吉良のための、秘密の離れ」として、この部屋が出てくるかもしれない。

吉良と憲助は、呪いの病を克服する方法をともに探そうと、何らかのかたちで協力をはかっていたのだろう。
(吉良はロカカカの実の存在を知っているが、憲助には話さず、フルーツ・樹木の栽培方法だけを学び、聞きだそうとしていた?)


・夜露が死の間際「定助は東方家に裏切られて死ぬ」と吐き捨てたが、夜露は何を知っていたのか

→死の間際の捨てゼリフで、夜露の意識が混濁していたものとして、無かったことになるのではないか。
しかし、「夜露がジョセフミと吉良を襲うも、地震による壁の目の隆起により助かった」という設定は、53話の中でしっかり実現されていたと思う。


・カレラが話した、ジョセフミと吉良との過去。半年間、カレラは何をしていたのか

→ダモカン登場の話が始まって、吉良とジョセフミの過去編が始まりだす辺りから、作中のテンションが一気に高まり、エピソードの熱が高く、面白くなってきた。
逆に言えば、コミックス11巻 カレラ登場の話が終わって、次のダモカンの話に移る辺りで、ストーリーの構想を考え、改めたと見るのが自然で、
であれば、11巻までに描かれた、カレラ登場時のエピソード、カレラの伏線めいたセリフは、無かったものとして捨てられるのではないだろうか。

カレラとジョセフミ、吉良が一緒に移っている写真は、何かの機会に、カレラがジョセフミに近づいて、さりげなく撮影させてもらったのだろう。

ヨットハーバーの攻防で、カレラは爆弾の媒介となり、アタマに強い衝撃を受け、記憶が混濁してしまった。
岩人間の双子も、ジョセフミにブッ飛ばされて頭に大怪我をしてしまったので、カレラをめぐる認識が混濁してしまったのだろうか(…?)


ーー最後の、カレラの記憶障害の仮説は、あらき100%さんの予想から採ったものでした。
あらき100%さんでは、ジョジョリオンのこれまでの伏線描写を全て織り込んで、時系列・整合性に矛盾が出ない仮説を描き出していて、これは大変な労力だと、感心せざるを得ない。

私自身は、もう少し醒めたところがあって、
ジョジョリオンの1巻~10巻くらいまでは正直 あまり面白くなかったので、それまでの描写・伏線が無かったことになっても、ある程度は構わない。
 11・12巻~クライマックス~ラストまでの構想が楽しみで、これからの展開で、面白く読ませてくれたらありがたい」
と思っています。

いずれにしても、ジョジョリオンが今後 どんな展開・盛り上がりを見せていくのか、楽しみに読んでいきたいと思っています。