ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

ジョジョリオン ラストバトルの構図

ウルトラジャンプ2020年7月号、レッドツェッペリン「CODA」風のフォントがカッコいい表紙の回を読んだ。

今月号 作者の絵を描くテンションがとみに上がってきていて、ロングの小さな人物でもジャガイモのような顔の崩れた表情が無く、ピシッと絵が決まっている。
2~3部 20~30代の作者が描いていた頃の、筆圧の高い感じを思わせる絵になっており、ハイボルテージ、描くテンションが高まっているのを感じる。

ジョジョリオンはいよいよラストバトルの様相が固まってきて、
病院での戦いと東方邸での戦い、この2つが1つにまとまり、定助の戦いが終わるところで、新ロカカカ 収穫の時を迎えそうな感じである。

今月号の話(病院のラボで、院長のスタンドと定助たちが対峙した時点)からあと2時間ほどで、ロカカカ収穫の時がやってくる。
コミック21巻 ザ・ワンダー・オブ・ユー の冒頭で、常秀たちが一家団欒する裏で、つるぎが秘密裏に行動しているシーンが、収穫の10分ほど前。

8部前半 コミック1~10巻くらいの展開では、エピソードごと、あるいは毎月の連載ごとに設定や伏線が二転三転する印象のあった今作だが、
コミック21巻以降の展開は、作者もおおまかな構想を練ったうえで、キャラクターの行く末を見据えて、伏線を回収しつつ描いている筈である。

ロカカカ収穫 10分前の場面まで、今月までに描かれた荒れた事態からどうやって繋がっていくのか、「謎解き」の腕の見せどころである。


ジョジョシリーズのラストバトル、クライマックス 最後をどう盛り上げるかについては、1部、2部… シリーズごとに、意識的に趣向を変えてきている節がある。

8部 ジョジョリオンの場合、ラストバトルの構図として、「謎解き」をテーマに、今の展開を描いているように思う。

ジョジョリオンは、マンションの一室でのトリックバトルから始まり、二玉の主人公の出生と記憶の謎を探るところからストーリーが始まり、
東方家の家族模様と病気(生死)をめぐる展開で話を膨らませつつ、ロカカカと岩人間の設定を投入。
主人公の設定を中盤で明らかにした後、ロカカカ争奪戦に話をスライドさせ、現在に至る。


ジョジョリオンのラストバトルは、いくつかの「謎解き」を並行して疾走させつつ、話の興味を引っ張っている。

ザ・ワンダー・オブ・ユーの冒頭 一家団欒の裏で憲助さんが瀕死になっている、この場面にどうやって話が繋がるのか

・ロカカカの実を手に入れるのは誰なのか

・院長と透龍は何者なのか

・院長のスタンド能力に弱点はあるのか。どうやって倒すのか

・院長を倒し、ロカカカの実を手に入れた後 誰を治療するのか


吉良家の人々(ホリーさん、吉彰の妹)、東方 花都さんの出番が巡ってこなさそうな気がするが、
院長とのラストバトルが終わった後、エピローグ的なエピソードの中で、吉良家、東方家の人たちの出番が回ってくるかもしれない。


今月号まで読んでいて、予想がつかないのが院長と透龍、2人の正体。

私の予想では、ラスボスはあくまで院長であり、院長は実在する人間。
スタンドや幻影ではなく、再生医療の講演を行ったり、記者と対峙したのは、実在する岩人間の院長。

スタンドバトルとして、遠隔自動攻撃のスタンドを襲わせつつも、院長本体がどこに居るか分からない。院長の正体が何か分からない? というところで、ラストバトルの筋を引っ張っているのだと思う。

一方、透龍は康穂の元カレであり、なんらかの術によって院長に体を操られ、ロカカカ収奪のために利用されている。
透龍が岩人間の黒幕というのはちょっと不自然な気がする。
いかにも怪しいと思わせる登場をして、実際に黒幕かという言動をし始めて、最後にはただの利用された元カレだったということが分かる。そんな展開ではないかと思う。

院長と透龍の描写を見ていると、遠隔通信している、一心同体、院長の魂(の一部?)が透龍に乗り移って操っている? みたいなイメージ、予想が湧く。
5部の終盤でキングクリムゾンがトリッシュにとりついたり、4部で吉良が川尻と入れ替わる展開があった。
過去作と同じアイデアの焼き直しは避けるのでは と思うが、なんらかの形で、院長の正体が別のところにあって、それを最後に突き止めるところで、バトルの決着が付くのだろう。


今月号 羽先生のラボでひとり椅子に座って動かない定助は、3部の承太郎のようなクールさがあり、凄みを感じさせる絵力があった。
豆ずくさんは「驚き汗」をかきつつ、解説役に回っている。

今月号のラスト 大きな見せゴマでなく、小さなコマの会話のやりとりで最終ページが終わるパターンは珍しく、演出、展開が切れている感じがある。

あと半年、1年経つまでにジョジョリオンは連載完結するのではないか と思うが、さてどうなるか。ここからの展開が楽しみである。