ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

ソクラテス、プラトン、アリストテレス 師匠と弟子、神と超人のドラマ  完璧超人始祖編を深読みする

ジョジョとほとんど関係ない話題となり、すみません。9月連休中 ヒマのあるときに頭に浮かんだメモ、キン肉マンの忘備録です)


キン肉マン 完璧超人始祖編は、神とその弟子、弟子がいかにして師匠を越えうるか 人類の起源と可能性に切り込んだ、壮大な大河ドラマである。

私の個人的解釈では、神とはすべてを統べる絶対的存在、この宇宙、世界すべてを創造した何者か。唯一絶対の存在である。

完璧超人始祖編 ザ・マンは、超人たちを産み育てた全てのルーツとして登場し、そして一番弟子のゴールドマンに倒された。
キン肉一族のドラマはそこそこに、ザ・マンと完璧超人始祖、神と弟子たちのドラマでとんでもない盛り上がりを見せたシリーズであった。


ザ・マンとゴールドマン、10人の始祖との関係は何かに似ている。
西洋哲学の偉大な開祖たち ソクラテスプラトンアリストテレスたちのドラマに似ている。

(ここから先 西洋哲学、西洋史をきっちり学んでいる人にとっては噴飯もの、鼻白む妄想が展開されているかもしれませんが、あくまで直感、勉強中の身の個人用メモです。ご容赦、ご笑覧ください)

西洋哲学の開祖 世界史に名を残すプロフェッサー(先生、教授、プロフェッショナル)のひとりが、ソクラテス
その弟子であるプラトンはレスラーであり、政治家を志し挫折したいいところの坊ちゃんであり、ソクラテスに哲学を学び、アカデメイア(アカデミー)を興した。
プラトンの弟子がアリストテレスアリストテレスはバランス感覚に優れた人で、師匠のイデア論に論駁し、知的論争を行い考えを深める。体系化、整理に秀でた人で、アレクサンダー大王の家庭教師を務めた。

3人の賢人が世界史に名を遺したのは、3人の業績、著書がすぐれた力を持っていたことは勿論であるが、
古代ギリシャ アレクサンダー大王の家庭教師をアリストテレスが務めていたから、彼らの名前と評判が世に残った とも言える。
政治経済 実業の世界と、抽象的な哲学者の世界はリンクしており、卵とニワトリ どちらが先かを問うような、一致不可分の関係にある。


私自身 教育、保育。「学校」はどのようなものか、いかにして作り、運営することが可能か ということが、数年来のテーマとしてある。
保育教育の元ネタ、大きなルーツのひとつが、ソクラテスたちの時代、プラトンの作ったアカデメイア(アカデミー、学校)に残されている。

ソクラテスプラトンアリストテレス。3賢者の言動 どこまでが史実で、どこからが語り部による脚色・伝説化なのか、私には分かりかねるところがある。
しかし、三者三様 背景が違い、キャラクターが違う3人の「レスラー」たち、超人たちの戦い、語らい、生き様には、頭と心、体を大いに揺さぶられるところがある。


ーー勢い任せの文章で、訳が分からないものになっているかもしれませんが、そんな刺激、直感を受け取っています。

ゆでたまご先生によると、ザ・マンや調和の神たちは古代ギリシャの神々をモチーフとしている とのことですし、
プラトンの時代からレスリングがヨーロッパに連綿と受け継がれ、馬場猪木の近代プロレスに繋がっているのですから、
上記のメモは、あながち荒唐無稽でもないのではないか と思っています。


古代ギリシャの神々をレスラーとして登場させたり、知性の神だからメガネをかけた堅物にしようとか、
なんともいえず直截的な、不気味なほどの素朴さ凄みをもったアイデアは、ゆでたまごならではのものでしょう。

荒木先生はこのあたり、宗教や神に対する扱いがもう少しクールで、7部SBR イエスキリストを模した存在を登場させたものの、名前を明言することは無く、「遺体」「ある人物」とぼかし一般化する、冷静さと賢明さがある。


個人的には、キン肉マン(=ゆでたまご 嶋田と中井、2人のペア)の真骨頂は清濁あわせのむ大らかさ、くだらないものをくだらないままに描くギャグマンガ家の器量にある と見ている。

その意味では、唯一絶対の存在であるザ・マンを倒して、さらにその先に同格の神々が居て、12人の神がいて、超人連合軍がそれと戦って… という展開は始祖編の二番煎じ、すでに解決したテーマを繰りかえす引き伸ばし、マンネリにしかならないだろう と、直近の連載をすこし醒めた目で見ている。
(とはいえ、ウェブ連載が更新された月曜日中にはかならず最新話を読み、今後の展開を予想、あれこれ感想を楽しんでいますが)

キン肉マンの面白さは時流に乗った節操の無さ、嶋田先生のすこし破れたキレたアイデア、中井先生の愚直ながらもときによく分からない、人間の業、おかしみをマンガで描き出すところにある と思う。

レオパルドンのネタバレ、吉野家の丼 嶋田先生はときどき騒動を起こし世間をざわつかせるが、これも含めた人物像の全体が、キン肉マンゆでたまごの性質ではないだろうか。

キン肉マン 王位争奪編の最後をやっつけ気味に終わらせ、ゆうれい小僧、スクラップ三太夫、(名前がすぐに思い出せない)謎のグルメ漫画を経て、キン肉マンを再び描いている作家である。

唯一絶対、完全無欠の神とはかけ離れた、失敗だらけ、矛盾だらけの嶋田先生と中井先生だからこそ、完璧超人始祖 神と人間の戦いを描くことができたのは、何とも面白い構図ではないだろうか。
本ブログで繰り返し述べているが、キン肉マンという作品こそは、2人の友情パワーによる賜物だと思う。