ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

ジョジョリオンに残された謎 「壁の目」とは何か

ジョジョリオンが連載100回を迎えて、主人公と岩人間の戦い、ロカカカの実と東方家の因縁は佳境を迎えている。

物語の糸筋はだいたい解きほぐされつつある と(私自身は、読んでいて)感じるが、ひとつ、開幕当初から残された「謎の存在」がある。

壁の目とは何なのか。

連載第1回 東日本大震災が起こった直後に描かれた第一話で、地震が起きたその日の夜 壁の目が隆起した とナレーションが入っている。

地震が起きた後に隆起した海岸線の壁、海から来る何かを阻むかのように、海から来る何かから街を守るかのように、壁がそそりたっている。

ーー2011年から10年近くが経った今 改めて考えると、どう考えてもこれは、震災直後 東北地方が津波に襲われたことへの悲しみと怒り。
仙台で生まれ育った作者の故郷への愛着、どうしようもない怒りと嘆きが生み出したアイデアだろう。


物語の設定上は、話数が進み、ジョニィジョースターが「聖なる遺体」を杜王町に持込み、海岸沿いに埋めて隠したこと。
100年前の事件から、杜王町の海岸ぞいに、聖なる遺体のご加護が宿ったらしいことが示唆されている。

悪魔の手のひらと同じく、海岸線の一帯は「特別な土地」となり、大震災の後 壁の目が隆起した。

ややもすると大震災が起きる前に壁の目が隆起して、街を津波から防げばよかったじゃないか と言いたくなりますが、
そこは、リアリティを重んじる作者のスタンスがあり、現実に起きた災害を無視、絵空事にはできないとして、あえて、地震の後に隆起されたのだろう。


「岩人間」という敵のアイデアは、おそらく、自然、土着、もう一つの人類の可能性… というところで、
人類とは相いれない人類の敵、主人公たちの敵役として設定された存在だと思う。

杜王町(≒仙台)という固有の土地にて、地元の街に生きる人々。人間と自然の共存、争いを含めた関係のやり取りが、主人公と岩人間の戦いではないか。


連載101話以降 あと2~3話くらいで、岩人間との戦いが終了。
東方家(地方都市。地面から生えるフルーツを育てる、その土地に生きる人々)の争いを描き、人間と街の関係、杜王町の未来を描いたところで、8部の物語は終幕するのではないか と思う。

4部の杜王町に較べて、あんまりハッピーエンドな、イタリアっぽい?明るく楽しい感じが薄くなっていますが、
リアリティー寄りの、日本らしい、じめっとした、ひっそりした地方都市を作者は描きたかったのかもしれない。

私自身の独断として、そんなことを思っています。

 


参照記事:

sougan1976.hatenablog.com