ジョジョベラー限定版が、ぶじ手元に届いた。
荒木先生と椛島編集の対談、巻末の作者インタビュー、井藤編集の記事を読んだ限りだが、2万円ぶんの価値はあったと思う。
ありがたいことだった。
ジョジョベラーの中で、スティールボールランが「輪廻、再生、無限の回転」を念頭に置きつつ書き始められた との記事を読み、
本記事の着想を得た。
以前 本ブログでも触れたが、ジョジョとドラクエには似ている所がある。
80~90年代自分自身が同時期に熱中したという個別的事情を差し引いても、両者には似通っている点がある。
(詳細は、「ジョジョとドラクエ 創作の目指す高み」という記事で述べた)
ドラクエ8で、魔王ラプソーンとの最後の戦いで、不死鳥レティス(ラーミア)の背にのって戦う一曲がある。
ラーミアのテーマをアレンジした戦闘曲で、ドラクエ8をプレイしたことが無いのに、この曲を聴くと、来るものがある。
ドラクエ8は、堀井雄二氏の弁によれば、当時 最新の3D技術で、ドラクエ1製作時に思い描いたフィールドを再現したものらしい。
いわば、「理想のドラクエ」を18年かかって、ようやく製作・実現できたものなのだと言う。
そこに、堀井氏がシリーズ中思い入れが深く、またクオリティーに自信もあるだろう、ドラクエ3のラーミアをぶつけてきた所。
古く、ゆったりとしたテンポのラーミア(のテーマ)が、まさに不死鳥にごとく、戦闘曲となって蘇る点に、興奮してしまうのだと思う。
ドラゴンクエスト 1で当初描かれた世界が、長い時間を経て、8で再び蘇る。
音楽もキャラクターも、ゲームで遊んだ体験そのものが引き継がれ生き続ける点が、素晴らしいのだと思う。
このシリーズの展開は、
すぎやまこういち先生作曲 ドラゴンクエストの交響曲でたびたび現れる、
クラシック ソナタの形式「主題の提示→展開→主題の再現」にそっている。
弁証法でいう「正→反→合」にもそう。
物語の形式にある、「主人公の出発→旅→帰還」にもそう。
ジョジョの1~3部のサーガ、またジョジョのそれぞれのエピソードの展開も、この形式によく当てはまる。
1で創立し、2で膨らませ、3で大団円・原点へ帰還する。
この点で、ジョジョとドラクエはよく似ている。
思うに、この3段階の発展形式は、人間の心に「しっくり収まる」ものなのだろう。
人間が、個人としても種族としても、
誕生→成長→死を迎え、平和→事件→平和、幸福→苦難→幸福のステップバイステップを歩み続けることの証左かもしれない。
そして、スティールボールランが、輪廻、再生を念頭に、
今までのシリーズを一度壊し、新たな世界の地平を描こうとした、その勇気を讃えたいと改めて思う。
スティールの言葉 冒険者に送るメッセージは、作者自身の心の叫びであったに違いない。