ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

怪獣図解入門とドラえもん、ジョジョ 「データベース」の子ども文化

切通理作氏の著書で「怪獣少年の復讐」という本があり、ときどき読み返している。
特撮関係者へのインタビューを一冊の本にまとめたもので、第2期ウルトラシリーズ、1970年代の特撮・子ども文化に興味ある方には、なかなか面白い本である。

同書の4章では、小学館学年誌(小学2年生などのシリーズ)を取材し、当時の編集者にインタビューを行うくだりがある。
当時の大人たちが怪獣やマンガを有害とみなし、子どもたちの成長を心配する様子が掘り起こされ、なかなか面白い。
今で言うと、任天堂の新作ゲームやヒカキンのyoutubeうごくメモ帳で遊ぶとバカになるのか?と心配するようなもので、親と子、学校と子どもの世相は変わらないものだ と思う。

 

私のウルトラシリーズへの愛着は、「コロタン入門百科シリーズ18 怪獣図解入門」で始まっている。
怪獣図解入門は、講談社小学館の少年誌からスピンアウトするかたちで生み出されたそうで、同書の著者 大伴昌司氏によるはしがきが懐かしい。

大伴氏のはしがきでは、(うろ覚えによると)
「怪獣は実際に存在するものではありません。しかし、皆さんに想像する楽しみに触れてもらいたいと思い、怪獣のしくみを考えた図解を載せています。想像する楽しみを味わってください」
という趣旨のことばが述べられていた。

切通氏の著書によると、
少年誌が育んだ「怪獣図解」の手法、キャラクターをデータベースにまとめ「リアリティ」と「キャラ」を立たせる創作手法は、
その後の子ども文化ーー小学館と藤子先生による「ドラえもん」の秘密道具の体系化、リカちゃん人形のキャラクターづくりetcーーに活かされていったそうである。


そこで、話はジョジョである。
インターネットのいろんな感想を読んでいると、「ジョジョのスタンドはドラえもんのパクリ」、「ドラえもんの秘密道具に、スタンドのアイデアの源流が隠されている」みたいな意見を読むことがある。
私は荒木先生でも集英社の編集者でもないので、創作の舞台裏は分からないが、たぶん、荒木先生が直接にドラえもんからスタンドのアイデアを拝借したことは殆ど無いと思う。

荒木先生が影響を受けたとするなら、藤子マンガそのものよりも、小学館講談社の子ども雑誌、1960~70年代の子ども文化全体に影響を受けたと考えるほうが自然である。
ジョジョのスタンド、スタンド使いと能力を網羅したり、スタンド使いを仮想対戦させる遊びがあるが、個人的には、ウルトラマン仮面ライダーなど、昭和の特撮のキャラクターを網羅する遊びに似たところを感じる。

また、荒木先生はどちらかと言えば、藤子F不二雄よりも、藤子不二雄Aに近しい資質を感じる。
億泰がイタリア料理を食べて「ンマーーイ」と叫ぶのはA先生の影響だし、A先生のブラックでちょっと気持ち悪い作風は、荒木先生に通じるものを感じる。
「魔太郎が来る!!」というA先生のマンガがあり、まだ読めていないのが残念だが、わりと直系で、魔少年ビーティーやディオの造形に繋がっているのではないか と思う。