ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

ジョジョリオン 2020年4月号の感想

ジョジョリオン 2020年4月号、「終わりなき厄災 その1」を読んだ。

2019年の年明け、密葉とつるぎの親子が学校でいじめられる話(コミック21巻、冒頭の一話)から話がつながって、
今月号でひとつの節目を迎えた感じだった。

東方家の対立、康穂たちとの緊張関係が表面化して、盛り上がってきた。
常敏が運命に翻弄される哀しい男、
終わりなき厄災を仕掛ける物語上の黒幕が院長ということで、話の筋が収斂し、引き締まってきて面白い。

終わりなき厄災、何とも意味深なタイトルであるが、
ジョジョリオンの時代設定を考えると、東日本大震災以降 日本に現れてきたさまざまな厄災、禍、不幸。さまざまなものを象徴している と見てよいだろう。


コミック21巻 冒頭のエピソードからのつながりを見ると、
・つるぎはどうやってスタンドの暴走(体の折り紙化)から回復して、普通の体調に戻ったのか
・常秀たちが呑気な一家団らんの雰囲気に戻っているのはなぜか
が、依然 謎である。

私個人の予想では、次男たちの一家団らんは、つるぎのスタンド能力で幻覚を見せている。
これまで東方家の家族たちが団らんする様子を描いてきたが、最後のところで、偽りの団らん風景を演じる。
家族関係への皮肉を描いているのではないか。

ロカカカ収穫の前に、つるぎが果実を食べて健康を回復しているとは考えづらい。
冒頭の一話 つるぎがゴソゴソ死体(?)を隠そうとしているが、
実際にはつるぎではなく、(ペーパームーンの幻覚で、つるぎに擬態した)常敏だった とか、何らかの仕掛けがあるのだろうか。


家族関係のドラマでいえば、
密葉さんが康穂をトイレに流そうとしたとき、夫の言うままに彼女を殺そうとしたのか、それとも下水道に流して助けようとしたのか。
どちらともとれるような、曖昧な描かれかたをしている。

密葉さんからみて、夫と息子、家族以外の人(康穂たち) どちらを取るかは微妙な選択で、
密葉がどちらを選択したのかは、どちらとも取れるように、曖昧な描きかたをされている気がする。

物語の最後 常敏は死んでしまう気がするが、密葉さんのお腹にやどっている第二子が、東方家の未来への希望となって、これから先に引き継がれていくのではないか と思う。


展開の都合上 カレラ、虹村さんはもう出てこない気がする。

もしかすると、定助が小包を送った先が、吉良家の屋敷で、虹村さんがそれを受け取ったところに、院長が攻めてくる。そうした展開でないかぎり、ちょっともう、虹村さんが出てくる予感がしない。
でも、オージローが突然 再登場して、今月の話で意図をもって登場の筋がまとめられたので、
吉良家の人々のありかたも、これから先、筋をもってまとめられていく気もする。


常敏を中心とする東方家の騒動 残るキーパーソンは花都さん。

院長とホリーさん一族の戦いで、残るキーパーソンは透龍くんのような気がする。

院長がもたらす厄災に手繰り寄せられつつ、吉良家と東方家の騒動がひとつにまとまり、ロカカカが実り誰に用いられるかで、物語がクライマックスを迎える按配である。


ついでに細かく気付いたところを言うと、今月号の話くらいから、院長の後ろ頭 髪型がパンチパーマ、東大寺の大仏のようなブツブツ頭になっていた。

ジョジョ展 長崎でみたキャラクター設定書では、羽先生の頭を「パンチパーマなのに直毛」と記していた。羽先生の髪型に院長を揃えてきた気がするが、
エセ仏教(?)的な宗教の虚妄へのディス、人間が死生を司ろうとすることへの自戒を込めて、ブツブツ頭の螺髪が設定されている --と言ったら、いかにも深読みが過ぎるのだろう。

 


連載期間であと1年くらい、コミック25~26巻くらいでジョジョリオンが完結するペースだろうか。
コミックでまとめて読むと、1~13巻で定助の過去が判明するまでの前半、14巻がインターバルで、15巻以降が新ロカカカの実を争奪する、これから先の未来を探るための後半 となるのだろうか。

14巻 ミラグロマンのお金の呪いで、常秀が主役のエピソードがあった。
とても現代的な、矮小な日本人、リアルな若者(私自身を含めて、身近な人たち)の話を描いていて、箸休め的な立ち位置で、面白いエピソードだった。

今月号の話で、生死ギリギリの康穂を救ったのは間違い無く常秀で、これから先、東方家の人たちのドラマが楽しみになる展開だった。