ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

ジョジョリオン ラストに向けて、2点 よしあしの感想、予想

ジョジョリオン 院長のスタンドがとうとう倒され、ウルトラジャンプの連載があと2回で終わるだろう(コミック27巻で完結するだろう)というところまで来た。

 

本作のラスト、話の結びを予想する記事を前回に書きました。

ジョジョリオン ラスト、話しの結びを予想する - ジョジョ読者のブログ

 今回の記事は、その補完的なメモです。

 

ジョジョリオンがコミック27巻で完結するならば、前半 主人公 出生の謎を探る1~13巻、インターバルの14巻、後半 新ロカカカの実を巡る三者闘争を描く15~27巻と、だいたい等しい分量になる。
前半が、主人公の謎を探るミステリー、後半がロカカカを巡るアクションアドベンチャー 前後半の2部構成となっているのが、ジョジョリオンだと思う。


透龍、院長との戦いが終わって、ホリーさん、吉良家の行く末、東方家の行く末を描いて、物語が終わると思う。

ジョジョリオン ラストに向けて、2点 よしあしの感想、予想がある。

まずひとつめ 21巻以降の展開で腑に落ちないのは、収穫13分前 家族団らんの傍ら、つるぎがノリスケを引きずっていくシーン。
作者的には、上記のシーンに繋げて、今月号の場面(つるぎが救急車に向け、ノリスケを引っ張っていく場面)を描いたのだと思うが、21巻の描写と繋がっていない。

ムリくりに解釈すると、新ロカカカの実 収穫がされると、豆ずくさんたちが予想した時刻が、今月号 透龍が倒され、救急車が到着したころ。
東方家の皆が家族団らんしていたのは、つるぎがペーパームーンキングの能力をつかい、自分自身に「家族の幸せ」の幻想を見せつつ、半死半生のノリスケを2階から外へ運び出していた。
21巻 つるぎがノリスケを運び出すとき、スタンドのカエルがピョンと飛び跳ねていたので、誰かしらに幻覚を見せていたのは間違いない。それが、つるぎ自身だった…? というところだろう。

ブッチャけたところ 作者である荒木先生自身も、21巻 冒頭のシーンと、今月号の描写 噛み合うようで噛み合っていないのは、描いてる本人が分かっている筈である。
連載期間にして2年半余り、今回の戦いを書き連ねていく中で筆が乗り、キャラクターがどんどん激しい戦いに巻き込まれ、死んでいき、(21巻冒頭のシーン)当初のチョイ見せから、着地点が変わっていった というのが真相だろう。

ジャズライブのようなライブ感を重視している、ちょっと間違えること、やり直す、軌道修正も「味のうち」 荒木先生の執筆スタイルの現れである。


ーー一方、こちらは良い話で、 最終盤の戦いを思い返して感心したのは、定助が最後に、「見えないしゃぼん玉」を獲得したくだり。

豆ずくさんの解説では、無限に小さいひもの無限回転によるものと、素粒子物理学っぽい解説が為されていた。

定助のキャラクター設定を考えると、見えないしゃぼん玉には、もう1つ 意味が重ねられていると思う。
それはつまり、定助が身元不明の記憶喪失で、漂流者だったというところにある。

ジョースケという名前も、広瀬家で飼われていたイヌに由来する仮の名前であり、定助には、さだまった名前、所属、人生や生活の基盤となるものが、はじめ 何もなかった。

存在するけれども、存在しない。

この世界に存在しないがゆえに、あらゆる壁を越えていける というのがソフト&ウェット ゴービヨンドであり、これは定助にしか生み出せない、8部の結末を締めくくるための、ラストの大技だったのだと思う。


連載あと2回 ホリーさんの病気を治せるのか。吉良家、東方家の誰が生き残り、杜王町の未来を担っていくのか というところで、ラストのむすびが描かれるだろう。

個人的予想では、ここからのもうひと波乱、あらたな敵が現れてのスタンドバトルは無いのでは と思う。

定助は吉良家の生き残りであり、康穂とくっつく くっつかないみたいなところで、ホリーさん(ジョースター家、吉良家)の血脈を未来につなぐ というところで、生き残っていくのではないか と思う。


次回作 9部があるとしたなら、定助と康穂の子供、子孫が出てくるのが自然な成り行きである。

2011年より時間軸をさらに進めると、現代 2021年を越えてしまうので、あんまり近未来の話は、荒木先生は描きにくいかもしれない。

9部 定助の子供、親類縁者みたいなキャラクターは出てくるかもしれないが、(1~6部までの)血族の物語ではないので、あまり本筋には絡まないかもしれない。

9部が5~6部のリメイクを含むなら、キリスト教文化の中心地であるイタリアにて、聖なる遺体、等価交換、物事の理 このあたりのテーマやモチーフを活かしつつ、あらたな物語を紡ぐことになるのだろうか。

文化、宗教、人間世界の行く末というものは、無限の広がりがあり、語りつくせるものではないので、荒木先生の意欲しだいで、9部、10部…と無限に続くかもしれない。


キン肉マン 最近のウェブ連載は盛り上がってきており、スグル、フェニックス、ビッグボディ 30数年ぶりのタッグマッチと友情締結は、けっこう胸が熱くなるものがあった。
プラトンを模したと思しきイデアマンも、ばかばかしいようで誠実さもあり、面白いキャラクターだった。

ジョジョは、キン肉マンとはちょっと違い、旧作を直接 描き繋ぐ続編を描くことはしてきていない。

しかしながら、ジョジョキン肉マンも、30数年 作者が書き連ねてきたシリーズであり、作者の人間観、人生経験、マンガ家としての魂が、厚く塗りこめられた作品であることは確かだ。

いつまで新作が読めるか分からないが、読者としても襟を正して、寝っ転がったり、駄菓子を食べながら、マンガを読み、楽しみたいものだと思う。