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ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

メジャーでマイナーをやれ  椛島編集と橋本治

ジョジョ全体 ジョジョリオン

ジョジョベラーか何かのインタビューで、
ジョジョ連載当初(または連載準備期間?)に、椛島編集が荒木飛呂彦を励ました言葉がある。

「マイナー誌でマイナーなことをやっても普通でしょ。それは面白くない」
「メジャー誌でマイナーなことをやるから面白いんだ」
「描くときは思い切ってやれ。描きたいことを描け」

ホラー、オカルト、SFなどサブカルチャーに造詣が深く、
はっきり言えばオタク青年であったろう荒木飛呂彦にとって、
「メジャー誌で、マイナーなこと=自分の好きなことを、読者人気とかに振り回されず、まずは思い切って描き切れ」
との励ましは、何物にも替えがたい自己肯定であり、強烈に背中を押されたことだろうと思う。


よく似た言葉を、橋本治の雑文集「パンセ 若者たちよ!」で見つけたことがある。
小説家・評論家である橋本治が、自らの仕事を「メジャーなところで、マイナーなことをやらないと面白くない」と述べていた。

橋本治はゲイなのだが、自らの個性の一部として捉え、いたずらに己を隠したり卑下することはしない。
自らが持つマイノリティー=個性・性癖etcを、自らのものとして堂々と打ち出す点では、橋本治ジョジョも、共通したものがある。
(余談だが、橋本治の語り口に、自分が書くブログは影響を受けていると思う。現代小説や古典翻訳をたくさん出しているので、興味のある人は検索してみてください)


荒木先生がホラー映画、オカルト、SFを好きなことは作品に明らかだし、ホラー映画の評論本まで出版している。
ゾンビ映画は癒し」「残酷な現実がスクリーンに展開されるのを見て、ある種ホッとしたりする」(意訳)という発言は、
字面だけを追えば、社会人として誤解を生みかねない点もある。

アヤシイ、マイナーな恥部にもなり兼ねないリスクがあるのだが、
そこを堂々と前に出して、一個の表現に昇華させたところに、ジョジョの福音があるのだと思う。

現在連載中の8部では、定助が4つの金玉を抱えて、己が何者か分からない苦悩に苦しんでいる。
定助や康穂が抱える「生きることの悲しみ」が受け入れられ、己が己として生きる喜びを見出す所に、ジョジョリオンの福音が訪れるのだろう。