ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

ジョジョのパクリ 創作におけるパクりパクられ

ジョジョファンには耳の痛い話かもしれませんが、ジョジョのパクリについてです。

 

自分には3歳上の兄がいて、映画好きの彼は、自分が小遣いで買ってきたジャンプを回読してはあれこれ感想を述べたものだった。

運命の車輪が、スピルバーグの映画「激突!」を丸パクリしている と指摘されたのが、ジョジョのパクリに気がついた最初だった。

自分でも、死神13はエルム街の悪夢から取ってるんじゃないか?と思ったし、ラリホーという雄たけびはドラクエから取ってるのか? と疑心暗鬼になった。

余談ながら、ジョジョの影響力は強く、兄と自分でジョジョのポーズをパクッて(真似をして)8ミリのモーションアニメを撮影したことがある。パクりパクられは、創作活動の源泉であり基本、学習という言葉の本義なのだろう。

 

大人になってから、近年、2chでジョジョのパクリ糾弾サイト(?)というのを知って、見てみて驚いた。

2部 ワムウとの戦いのくだりなどが、大山倍達の空手マンガから引かれているとは知らなかった。アントニオロペスなどのファッションイラストレーターに影響されているのは知っていたが、アイリン~2部くらいまでのファッション風イラストが、多くの構図・発案をロペス氏他に負っていることも初めて知った。

 

90年ごろ 宅八郎のいかす!お宅天国という本が出て、ジョジョのインタビュー記事もあったと思う。その中に外道の書というマンガがあり、人間が本になってしまう場面があるのだが、4部 岸辺露伴ヘブンズドアーに丸ごとパクられている。近年 露伴とヘブンズドアーはルーブル美術館に展示されたり、「気高い芸術家の象徴」「アラキ流オリジナリティー」の象徴として持ち上げられている向きがあるが、自分にはヘブンズドアー=パクりの印象が強く、どうも鼻白んでしまう。

岸辺露伴のスタンドは「人の人生を読む」能力なので、他人の作品を読む・パクるーー自己の中に取り込み、組み替えて新たな作品を書き出す、ということで作者の正直な自己告白かもしれないが。

 

そんなことで、自分の兄がマンガのパクリ指摘に目敏かった影響もあり、そのたびにいやな心情になったので、これらのパクリを見つけるのは胸が痛い。

 

他のマンガでは、大友克洋鳥山明のマンガ同士で、パクりをし合ったのが印象に残っている。

大友克洋童夢で、アラレちゃんの帽子をかぶった超能力者を登場させる。

鳥山明が、べジータ・ナッパに、アキラの鉄雄・大佐のデザインをパクる。大友流の爆発・破壊の表現を取り入れる。

フリーザの老人のような姿、丸い乗り物は、アキラに出てきた子供老人の超能力者が源泉にあるだろう。

他にも、ディズニーに影響された手塚治虫ジャングル大帝を描き、後年 ディズニーがジャングル大帝をパクッてライオンキングを作ったのは有名な話だ。

千の顔を持つ英雄という本があるが、この本によれば、多くの英雄物語は、太古の神話を雛形に、1000種類からのパクリが存在し、そのそれぞれのパクリかたこそが創作することになるのかもしれない。

 

ただし、今でも覚えているのだが、1988~89年頃 映画アキラ公開当時 鳥嶋和彦がジャンプ巻末の編集後記で、「映画アキラには、感心しないところがある。主人公 金田の造形に個性が乏しく、物語に引き込まれない。ストーリーづくりの基本として、これには感心しない」と書かれていた。

作者同士のパクリ合いはある意味 自然のなりゆきとも思うが、一編集者がこうしたピントのずれた批判的意見を公に述べて相手を攻撃するのはどうかと思った。同氏担当のドラゴンボールが明らかにアキラの影響を受けていた時期だっただけに、滑稽だった。