Trick or Treatment? 代替医療のトリック という本がある。
イギリス人ジャーナリストの著者が、世界中の代替医療を検証しメッタギリにする本。そのよりどころとなるのが、ヒポクラテスに端を発する科学的態度、Evidence based medicine(科学的根拠に基づく医療)という技法である。
●ヒポクラテス伝 2つの格言
科学と意見という、2つのものがある。前者は知識を生み、後者は無知を生む。
病気については、2つのことを習いとせよ。有益なことをするか、あるいは少なくとも害をなさないこと。 (「流行病について」より)
さまざまな代替医療の創始者・提唱者のエピソードを読んでいると、あることに気づく。
複雑なものを、複雑なままに捉えることの難しさ である。
人体という複雑なものを、複雑なままに捉えることは難しい。病気という現象、健康というものの定義についてもまた然りである。そこに、単純化という罠、妄想が生まれ成長する隙間がある。
単純化し、一元論で全て捉えようとするのは誤りである。しかし、陥りやすい危険な罠でもある。
ジョジョに無理やりこじつけると。
単純化に絡め取られた者は、運命の車輪 知恵の輪が解けなくて、カンシャクを起こした大男 である。(連載開始から25年経って)いまだにジョジョを擬音やポージングが奇妙で面白いと紹介するマスコミ・ライター、自分の好きな話やマンガがつねに一番でないと気がすまない読者も同類項かもしれない。
EBMの実践者として、上掲書では、統計学を駆使し軍隊をやっつけたナイチンゲールがいる。ジョジョでは、死刑執行人であり医者でもあるジャイロツェペリがいる。「間違った法だってある!」「納得は全てに優先するぜっ!」
さまざまのインタビューから抜き出す、荒木先生の座右の銘は「全てを疑え」、創作の秘訣は「創作は美しいと念じること」、そして何よりも実際に書き続けること(行動し、検証し続けること)だろう。