作者の言によると、ジョジョ3部は、さまざまな象徴性をもって描かれているという。
運命の車輪戦で、敵がいうセリフ(以下、うろおぼえによる筆記)
「おめーらには文字通り道は無い。エジプトへの道も、生き残る道も、輝ける未来への道もない。なぜならッ、この運命の車輪がミンチにしてこの岩場にブチまけるからだァ!」
承太郎
「ちがうね…道というのは、自分で切り開くものだ」
「これで吹っ飛んだ後に文字通り道ができたようで…よかったよかった」
第3部は、1部2部から続く100年の因縁に決着をつける物語だ。
DIOはジョースター卿の好意を裏切り吸血鬼になった。そして100年後、ジョナサンの体を奪い、ジョセフの血を吸い、ジョースターの血統を利用し踏みにじろうとする。
「ジョースターの血統は、わが運命の路上に転がる犬のクソのように邪魔なものだったが、
最後の最後は、このDIOに利用される運命にあったというわけだ」
文字通り、ジョースターの血を吸い、ジョースターを滅ぼそうとするDIO。血統の誇りを受け継いで、承太郎が立ち向かう。
「ロードローラーだッ!!」「WRYAAAA ぶっつぶれよぉッ!!」
ジョースターの未来への道をふみつぶし、ぶっつぶそうとするDIO。それに抗う承太郎。
(ロードローラーは道をならしつくるための建設機械だが、この文脈では、道をふみつぶし、ぶっつぶす印象が強い。OVAのタンクローリーでは、象徴的なニュアンスが出ない)
最後の対決で、DIOはいう。
自分の思想はシンプルなたった一つ、勝利して支配する。それだけが満足感よ!
ジョースターの血で目潰しし、蹴りをくらわす世界。パンチで迎撃するスタープラチナ。
スタープラチナのパンチが右から左へ、世界のキックが左から右へ迎え撃つ。
マンガのページは右から左へ、お話は始まりから終わりへ、時間は過去から未来へ流れる。
すべてを防ぎせきとめようとするDIO、それを承太郎が打ち破る。
「てめーの敗因は…たった一つだぜ DIO。たった一つのシンプルな答えだ…。てめーはおれを怒らせた」
承太郎とジョセフが死者を悼む場面で、死の近い者、旅立った順番が近い者から呼びかける。
花京院、イギー、アヴドゥル。終わったよ…。
空港での分かれ。ポルナレフは右に去り、主人公の承太郎とジョセフは左へ進む。彼らは旅を終え、日本に帰る。英雄が故郷に帰り、神話は終わる。
英雄が故郷に帰った後で、故郷で日常のミステリーが始まるのは作者のメタ的な視点によるものだろう。