少年ジャンプ 椛島氏が編集が務めたマンガの一つに、岸 大武郎「恐竜大紀行」がある。
同書の完全版が出版されており、鳥山明先生のあとがき、作者のあとがきがある。
(ちなみに、鳥山先生がジャンプ誌上で目に留まり、読み込んだ数少ないマンガが恐竜大紀行、そしてバオー来訪者であるらしい)
作者のあとがきに、椛島編集と岸先生が同著を企画したときのエピソードが出てくる。
恐竜ものを書いてみたいけど、ジャンプで人気が出るかな?と逡巡する作者に、
椛島編集の一喝
「新人が人気なんか気にするな! 大事なのは完成度だ!」
80~90年代のジャンプ(自分が読んでいた頃)で異彩を放つ作品は、椛島編集が仕掛けたものが多かったのかもしれない。
ジャンプが代表するアンケート制 オモチャを餌に子供に投票させる方式は、手塚治虫先生も生前嘆いていたという。「子供に人気投票をさせて、アンケートに頼って面白いマンガは生まれません」作者と編集者の、作家性を尊重すべきであると述べていた記憶がある。
しかしながら、今 現実にある商業活動、販売促進や宣伝なんかの多くは、このジャンプ的なアンケート制 多数派による多数決方式に基づいて判断・行動されるものが多い。
ブログやtwitter、ニコニコ動画やyoutube、2ch ネット上にあるサービスは多数決の数字で盛り上がっている(ように見える)ことが多いし、
ネットをつかったマーケティング・広告活動は、コンピュータで数値を記録・集計して、もっともな中庸な結論を導き出しているように思える。
椛島編集が、恐竜大紀行をつくるときに、人気をとらなくてよい、と思っていたのではない。
人気をとったり、マンガを何冊売って何円儲けるとかを考える前に、まず、しっかりした作品をつくり、読者に面白いと思ってもらえるものを作れ そう言いたかったのだ。
「質を伴った量」をつくることが大切で、質をつくりこみ、次に量を展開していくべきだ そう述べていたのだと思う。