5月の休日 子供たちの遊びの付き添いで、公園に行くことがあった。
地域のお祭りをやったりしていて、多くの子供たちで賑わっていた。
ボルダリングよろしく5mくらいの石壁を登る子供がいて、滑落しないか、見ていてハラハラした。
小学生から幼稚園くらいの年の子供が公園で遊んでいるのを見るのは微笑ましいが、
子供たちの遊びは必ずしも「平和な楽園」ではなく、緊張関係を孕んでいる。
駆け引き、取り引き、多数決の政治、そしてイジメ。
子供たちは子供たちの社会をつくり、大人の監視が行き届かないところで、日々 さまざまな「戦い」を経験し、摩擦に耐えている。
公園で遊ぶ子供たちを見て、改めて、そんなことを思い返していた。
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ウルトラジャンプの最新号(2017年5月)では、植物鑑定人が現れ、リフトでのアフタヌーンティーを準備し終えたところで終わっている。
植物鑑定人は、ジョジョには珍しいアジア人的な顔立ちで、プロフェッショナル然とした振る舞い、職住一体・自然と人為が調和した暮らし振りが面白い。
康穂にボコボコにされてしまったらしいドロミテも含めて、ユニークな住人が増えてきて、
8部の次元の杜王町に、新たな名所が生まれつつある感じが楽しい。
今月号の一つ前の話で、常敏と花都の過去話が描かれた。
常敏がローラースケートで滑っているくだりは、作者の気合の入った筆が感じられて、
憲助さんの視点からの、花都さんと子供たちを見つめるショットが、一枚の写真のように描かれていた。
中学生男子によるイジメ事件がきっかけで、常敏の運命が大きく転回することになった。
この中学生を、仮に「もう中学生」君と呼ぶことにする。
「もう中学生」君は中々秀逸なキャラクターで、中学生らしい発想や行動のリアリティがよく現れていた。
世界観が狭く、限られた社会の中で全てを充たそうとしたり、発想が短絡的で、すぐ衝動的な暴力に走ってしまう所など。
常敏が呪いの病のため記憶障害になり、皮膚にヒビが入り、見た目にも様々な異常が現れてきていた。
「もう中学生」君は、地元の町工場か市会議員あたりの息子であったが、大金持ちの東方家に嫉妬の気持ちを抱いており、
嫉妬含みの羨望の気持ちが、イジメの遠因にあったのではないかと想像している。
成長した常敏が、「毎日が夏休みだ」と浮かれた、子供っぽい趣味を開陳するようになったのも、
(病気を克服するまでは)マジメで大人しく、弾けていなかった過去からの反動があったのだろう。
荒木先生のホラー映画論 あとがきで、「地震ごっこ」で遊ぶ子供たちについて触れられていた。
子供は、遊びを通して社会に参加し、恐怖と不安を体験し、他人と自分の関わりについて学んでいく。
「もう中学生」のリアリティは、小学生から見た中学生の恐るべき実態、裏の顔の一つである。
自分の子供たちが、いつ、苛烈なイジメに逢うか、どんなひどい目にあう可能性があるかは誰にも分からない。
ただし、自宅に放火されたり、家族のパンティが盗まれたりするような目には中々逢わない筈で、
日々の様子におかしな所はないか? 事件の予兆に、つねに気を付けておこうと思う。