ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

イチロー引退会見より、抜書き

私が転職活動を行っていた昨年秋~今年の冬にかけて、作家の橋本治さんが亡くなり、貴乃花はカエルの絵本を発表し、イチローが東京ドームで試合に出て引退した。

自分が二十代のとき、橋本治の本をよく読んだり、貴乃花は少年ジャンプにまで登場した破竹の勢いで悲恋の物語を演じたし、イチローは神戸のオリックスに在籍時、よく試合のゆくえを追っていた。

私自身は40代の中盤にさしかかり、イチロー貴乃花は少し年上で、橋本治は自分の両親と同じ年代である。親の世代がこの世を去り、自分たち子どもの世代も人生の節目に差し掛かりつつあって、いろいろと転換期を迎えているのだな と思う。

 

イチローが日本に居た最後の頃、「インパクト!」という雑誌を出して、好きな映画はベイブ、巻末の言葉が「こんなもんで終わると思うなよ!」と意気軒昂だったことをよく覚えている。実際のところ、イチローが積み重ねた安打数はアメリカのそれが日本の二倍以上であり、日本プロ野球での積み重ねた履歴は、まだまだこんなものでは無かった。 途中、選手として苦しい辛い時期も多かったと思うが、一貫してやり通したのは素晴らしいことだと思う。

 

昔 二十代のころ、「プロ野球選手でいうと、松井秀喜が中学生リーグに参加してるみたいな感じ」と、友人に評されたことがある。いわゆるモラトリアム、内向的にカラに閉じこもりがちだったのを指して、発破をかけられたのだと思う。

好きなプロ野球選手は前田智徳、落合、イチロー、清原…といったところで、松井は、キャラクターの面白みが薄くケレンミが無く、一歩落ちる。

イチローの現役最終戦を見て、また引退会見を見てあらためて思ったが、「オレ流」を貫くには努力が要り、覚悟も必要で、ゆえに尊いのだと思う。

 

最後に、イチローの引退会見(フルカウントからの書き起こし)より、

2点、印象深かったくだりを引用し、締めくくりとします。

ティール氏がSBR記者会見で述べた一節とも重なる、開拓者の精神。自分自身も肝に銘じて、4月からの仕事に臨んでいきたいと思いました。

 

――子供たちに是非メッセージを。

「シンプルだなぁ。メッセージかぁ。苦手なのだな、僕が。まぁ、野球だけでなくてもいいんですよね、始めるものは。自分が熱中できるもの、夢中になれるものを見つけられれば、それに向かってエネルギーを注げるので。そういうものを早く見つけてほしいなと思います。それが見つかれば、自分の前に立ちはだかる壁に向かっていける。向かうことができると思うんですね。それが見つけられないと壁が出てくると諦めてしまうということがあると思うので。色んなことにトライして、自分に向くか向かないかというより自分が好きなものを見つけてほしいなと思います」

 

(中略)

 

――プロ野球選手になるという夢を叶えて成功してきて、今何を得たと思うか?

「成功かどうかってよく分からないですよね。じゃあどこからが成功で、そうじゃないのかというのは、全く僕には判断できない。成功という言葉がだから僕は嫌いなんですけど。……メジャーリーグに挑戦する、どの世界でもそうですね、新しい世界に挑戦するということは大変な勇気だと思うんですけど、でもここはあえて成功と表現しますけど、成功すると思うからやってみたい、それができないと思うから行かないという判断基準では後悔を生むだろうなと思います。やりたいならやってみればいい。できると思うから挑戦するのではなくて、やりたいと思えば挑戦すればいい。そのときにどんな結果が出ようとも後悔はないと思うんです。じゃあ自分なりの成功を勝ち取ったときに、達成感があるのかといったらそれも僕には疑問なので。基本的にはやりたいと思ったことに向かっていきたいですよね。

 で、何を得たか……まぁ、こんなものかなあという感覚ですかねぇ。それは200本もっと打ちたかったし、できると思ったし、1年目にチームは116勝して、その次の2年間も93勝して、勝つのってそんなに難しいことじゃないなってその3年は思っていたんですけど、大変なことです。勝利するのは。この感覚を得たことは大きいかもしれないですね」