ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

やさしさに包まれたなら クレイジーケンバンドのカバーアルバムと、ジョジョリオンの完結

ジョジョリオンの連載が完結した。
個人的にはおおむね満足、納得な話の締めかたで、53話 過去編完結時に(自分が抱いた)3つの謎への回答は、最終回までに示された。
ストーリーの大筋、キャラクターの行く末、可能性を示した上で終わったのでおおむね納得だった。

こまかい伏線の投げっぱなし、話の入れ替わりがあったが、最近に発表された記事

<インタビュー>荒木飛呂彦『ジョジョ』シリーズでともに歩んできたプリンスを語る | Special | Billboard JAPAN

にそうならば、
「プリンスなら、こんな細かいことは気にしないだろうな」「作品づくりで、この壁を乗り越えて、次に進んでいくんだろうな」というかんじで、過去の描写をウッチャり、今 思いついた新しい話へ、話を書き換え、筆を進めていったのだろう。


NHKのワイドショーを観たのがきっかけで、クレイジーケンバンドが「好きなんだよ」というアルバムを出しているのを知り、買って、聴いて楽しんでいる。
1970~1990年代 ケンが好んで聴いていた邦楽を、自分のバンドでリニューアルし、自らのバンドサウンドとしてカバーしたアルバム。
これがかなり良く、個人的な音楽の好みと一致し、好んで聴いている。プラスチックラブ→DOWN TOWN、やさしさに包まれたなら→接吻のあたりが白眉。

以前 ジョジョリオン ジョジョ8部のテーマを横須賀ストーリーと認定する記事を書いたが、同アルバムにも、横須賀スト―リーが収録。
わたしは横須賀港、横須賀の街を訪れたり住んだことはまだ無いが、この歌を聴いていると、港町の風景、坂をのぼった港町の眺めがはっきりと目に見える。
(横須賀ではない)これまで訪れた港町、ゆかりのある街の眺め、訪ねた記憶を再構成していのだと思うが、歌を聴いていると、山口百恵、宇崎竜童、ケンバンド、美空ひばりと重なる景色を、たしかに感じる。

ケンバンドのカバーアルバムを聴いていると、しみじみとした感慨が湧く。
横須賀ストーリーに限らず、ほかの曲でもそうである。
わたし自身の音楽鑑賞、人生におけるさまざまな体験。松本隆山下達郎など、元曲をつくった人が歌にこめた思いや願い、ケンバンドが演奏に込めた独自の解釈、演奏。
自分と他人のさまざまな要素が積み重なって、重なったり、重ならなかったりする、そのありさまが豊かで、聴いていて楽しい。


以前 鳥谷敬が2000本安打を打った頃 仙台と東京を旅した記事を書いたとき、「時間の地層が積み重なるのは良いものだ」と書いた。

ケンバンドのカバーアルバムを聴いて感じるのも同様の体験で、45才になった自分だからこそ味わえる、中年ならではのしみじみとした良さなのかな とも思う。

時間の地層とは、時の試練でもある。
ジョジョリオンの連載完結後 コミック27巻が出され、(本格的に?)完結する。ひとつのユニットがまとまった後、どんな評価を受けるのか。

荒木先生が9部、10部…を描き、亡くなるだろう10~20年後 ジョジョのシリーズがどんな評価を受け、どんな読者に読まれているのか。20年後、22世紀に向けてのお楽しみとなるのだろう。