ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

映画 ドラゴンボール スーパーヒーローの感想

ジョジョリオンの連載が終わり、ブログを書くタイミングが無くなっていました。ひさしぶりの更新となります)


映画ドラゴンボール スーパーヒーローを観に行った。
マンガとテレビアニメは追いかけていないが、神と神以降、ドラゴンボールの新作映画は追いかけていて、復活後 4回めの今作も、映画館で視聴した。
4本の映画のうち、今作がいちばんおもしろかった。

個人的に、バトルヒーローになってからのドラゴンボールにはあまり思い入れは無く、アラレちゃん、悟空が子どもだったときの丸っこい、かわいい絵柄の鳥山作品に思い入れがある。

今回の映画は鳥山明のもともとのテイスト 明るく楽しい、のんびりと抜けた雰囲気が全編にただよっている。
BAKOOON!など、アメコミ調の絵文字演出、レッドリボン軍やピッコロたちのセリフのかけあい、こまかなギャグのやりとりも懐かしく、くすっと笑える感じがあった。


ピッコロがパンをわざと誘拐するあたり、ピッコロが軍に潜入してそもそもバレないのか など、大人目線で観ると粗が出だすのだが、
子どもむけ、幼稚園から小学生くらいまでの子どもに作っているのだ、絵本、少年漫画を見ているような気持ちで観ると、そのあたりは気にならなくなった。

ドラゴンボールマニア向けに観ると、前作からの細かい設定が引き継がれていない、戦闘力のパワーバランスがおかしくなっているなど 粗を探せば、沢山出てくるかも と思った。
しかしながら、私自身は、1995年 ドラゴンボールが連載終了したとき、この作品世界が描かれることは二度とないだろう と思っていたので、
神と神以降 鳥山作品の続きが見られただけで、正直嬉しい。
連載最終回 悟空とウーブが飛んでいった先、プテラノドンドラゴンボールが空に浮かぶ数コマ、2ページほどのうちに「読者にお見せできる冒険はここまでです」と断り書きがあった、
作品世界の余白の部分を、膨らませて、4本の映画だったり、GT以降のアニメだったり、カードゲームの展開だったり、パラレルワールド的な形で、鳥山明以外のスタッフが関わるかたちで、ドラゴンボールの作品世界を語り続けている。

初代ウルトラマンが完結した後に、帰ってきたウルトラマン以降の昭和第2期が作られたり、果ては庵野・樋口監督によるシンウルトラマンが作られているようなものである。
ウルトラジャンプで、別の作者によるジョジョのスピンオフマンガが連載されているが、これも似たようなものかもしれない。
(個人的にはウルトラジャンプでは、ジョジョのスピンオフマンガの続きよりも、惰性67%の最終回がどんな終わり方をしたのか、タワーマンションのメイドマンガ 中盤~終盤へどんな展開をしたのかのほうが気になる。しかし、コミックスを買ってフォローしたいかと言うと、悩ましいところである)


鳥山明脚本によるこの映画を観ていて思ったのは、作者 鳥山先生はなにを思って、どんな動機でこの映画をつくり、キャラクターや場面展開、物語を考えていったのだろう?ということだった。
今さらお金儲けをしたいということではないだろうし、まわりのスタッフから新作映画をつくってほしいと言われてイヤイヤながらに作っただけでは無いはずである。

その答えをブログに書き連ねることはしないが、ドクタースランプギャグマンガ以来の、鳥山明の目線、テイスト、デザインセンス、展開のきびきびした感じが随所に現れ、新作マンガを読み進めるように映画を観ていった。

映画の中で何回か感動したシーンがあって、悟飯とガンマ1号が戦闘しているシーン、ガンマ2号の突撃、ラスト パンが空を飛ぶシーンなど、不覚にも涙する瞬間があった。

映画を観ていて、全般に、だいたい予想があたるかんじでストーリーは動いていき、子どもむけ映画としての安心感があった。
パンのキーン走り、cowa!のぬいぐるみがピッコロの家に置かれているなどのくすぐりも良かったが、
映画のラスト 戦いが終わって2号が散った空にパンが飛び、笑顔で締めくくるというのが、ベタかもしれないが良い終わりかただった。

ドクターヘドが就職できて良かったが、ガンマ2号は死んで戻らない というところで、全部が手に入らない、全ては元通り・願いどおりにならない という、普遍的な締めくくりだった。

映画のエンディングクレジット 鳥山先生が描いたものではない感じだったが、筋斗雲が飛び回るなか 世界各所を描いたラフタッチのペン画 雰囲気が良く、良い感じだった。


映画館を出た後 小学生たちが感想を述べており、「セルマックスが気色悪かった」と率直な感想を述べていた。
そのとおり たしかに気持ち悪かったな、と振り返ったが、映画を観ながら自分は、セルマックスは完全なやられ役、映画をしめくくるための悪役で、コイツが暴れてやっつけられないと、物語が終われない。かわいそうな存在だ という感じで見ていた。
特撮映画における悪役怪獣のようなもので、出番が終わって、裏の楽屋で休憩をとっているのではないかと思う。
気温35度を超える真夏日が続く中で、熱中症には気をつけてほしい。

ドラゴンボール スーパーヒーローは、映画を観終わった後 さわやかな感じを覚える、「よし、行ける。明日から頑張ろう」と思わせてくれる、良い映画だった。