ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

ジョジョの「形式」と「内容」

荒木飛呂彦論」というタイトルで、評論家の加藤某氏がジョジョを評論するという本が出ている。
評論の中身に積極的に取り上げるべき所は無かったのだけど、ジョジョという作品の「形式と内容」を分析し、その魅力を解明していきたいーーというような一節があり、
同書ではおよそ描かれなかったその分析を、自分で考えてみることにした。

まず、「形式と内容」の指すところを定義する。
「形式」は作品(人体)の基盤を為す骨格、「内容」は血肉に該当する、と定める。


ジョジョの「形式」
作品の基盤を為す要素。骨組みを形作るもの。

1部2部… 部が入れ替わるごとに時代・舞台設定・主人公が入れ替わり、異なるストーリーが描かれる点。

部ごとに主人公は替わっていくが、ジョースター家の血を引く一族であり、血縁をテーマにストーリーが描かれる点。

超能力にルールが定められており、キャラクターたちはルールに従いながらお互いの能力を駆使、駆け引きで勝負する点。

(2007年頃 荒木先生の講演会によると)マンガを構成する4要素はストーリー、キャラクター、絵、テーマ。
ストーリー+キャラクターが2本柱、それを表現する絵、背後に隠されながら全体を統括するテーマ。

連載1話ごと、エピソード1つごと、コミックス1巻ごと…という単位で、一定のページ数ごとに、内容に区切りを持って描かれている点。
例えば週間連載時代は、「スタンド戦1つで、連載6話」が基本構成となっており、敵登場→謎を探る→攻撃、反撃の応酬→決着が、一定のリズムで描かれ続けた。
コミックス15巻くらいで1つの部が完結することが多く、およそ5巻単位くらいで前編→中篇→後編と、まとまりを持って構成されていることが多い。


ジョジョの「内容」
骨組みの上に上乗せされた、豊かな諸要素。読者の目に直接飛び込んでくるもの。

キャラクターの言動、セリフ

絵柄

スタンドのアイデア、デザイン

 

構図、カメラワークの妙

 

サスペンス、恐怖(ホラー)を盛り上げる演出


コマ割りや擬音、ポージングなど、諸々の表現要素

(加藤某の本では、斜め割りのコマ割りを「ジョジョの画期的な表現形式」と評していたが、
コマ割り(のスタイル、技術)は作品全体の基盤を為す骨格というよりは、
表現を形作る一要素、血肉たる「内容」が適切ではないかと思う。)


マンガをはじめ作品鑑賞をするとき、最初に目に飛び込んでくるのは「内容」である。
大人になって、ものを離れて観る技術(視点)が身についてくると、作品全体の骨格や背景、作者の哲学などに興味が向く。
子供の頃は絵のあるマンガしか読めなかったのが、大人になるにつれ、字だけの本を読んだり、小難しい哲学書を読みたくなったりする。
形式と内容は、便宜的な2分法に過ぎないが、そのように読者の成長に対応していると思う。