ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

お盆休みに聴く「砂の惑星」

お盆休みになると毎年 家族が実家に帰省して、(仕事の都合上)私1人だけで数日を過ごす。
ふだん 仕事や人間関係に忙殺されているときは一人になりたいと思い、家族からも離れて1人きりの充実感を味わうのだが、半日か1日くらい経つと物さみしくなってくる。
1人で過ごすことはともかく、仕事や社会的な役割がなく、何もすることが無いのに耐えられず、普段やらない家事や花壇への水やりをこまめにやりだす。
お盆が開けて仕事に復帰すると安心するので、人間はつくづく、社会的な生き物だと思う。

お盆や年末年始、仕事や社会から離れてすごす数日間は、たぶん、定年退職後 初老の人たちがどうやって毎日を過ごすか に似ていると思う。
ジョジョリオン 常敏が言う「毎日が夏休み」のアクティブさは無く、「シーザー 孤独の青春」のわびしい感じ、
人間 やることが無くなって一人きりになると、うっかり青年時代の足元おぼつかなさに退行してしまうのではないか というところがある。

飯島 敏宏監督の映画「ホームカミング」は、年老いたニュータウンと初老の人たちのかすかな情熱を描いており、
高田純次の演技はイマイチだったが婦警さんの役者がかわいらしく、観て得をした一本だった。


お盆休みのあいだ ひとりで食事をつくる必要があり、近場のイオンに買い物に行く。
イオンはふだん、A列車で行こうのイントロ、職員がクリーンタイムに入っていますのアナウンス、よく分からないアレンジの買い物マーチが延々流れている感じで、
買い物客としてワガママを言えば、毎日毎日 同じメロディが延々と流れ続けているのは、精神的な独房に閉じ込められたようで、あまり気持ち良くない。

朝早い時間など、ヘンな時間にイオンに行くと、ふだんと違うメロディが店内に流れていることがある。
以前にいちどシャツか何かを買いにいったとき XTC the mayor of simpleton が流れていて嬉しかった。
今朝 食品売り場に野菜やお惣菜を買いにいくと、Queen good old-fahioned lover boy が流れていて、エッ!?と思ったが、大好きな曲なので嬉しかった。

イオン社員の誰かが選曲をしているのか、有線放送を流しているのか 分からないが、選曲者の趣味が自分と合っていて嬉しい。


人間が社会的な生き物であるとは、「自分と似た人、自分と似た何か」を他人の中に見つけて喜ぶ ということでもある。
ジョジョの主人公たちは、承太郎やブチャラティ、ジャイロなど戦うときはひとり、孤独に戦うことを良しとしているが、同時に、主人公には仲間がいたり、誰か他人のために戦う社会性を持っている。

子どもからの影響で米津玄師を知り、海獣の子供のテーマソング、アルバム bootlegをよく聴いている。

絵本や童謡からイメージを取っている感じがあり、bootlegには、不思議の国のアリス、センダック「かいじゅうたちのいるところ」を連想させる2曲があり、
童謡と青春映画をミックスさせたかんじの歌詞、楽曲が並んでいるので、わりと正直な人なんだと思う。

米津玄師でいちばん気に入っている曲が「砂の惑星」で、最初 カチャカチャして騒がしい曲だなと思ったが、何回か聴いている内にお気に入りになった。
同名のSF小説から着想を得た一曲で、精一杯気取ってカッコつけた感じが良い。ジョジョでいえば、SBR ディエゴブランドーのような感じである。

インターネットのファンサイトを見たところ、砂の惑星は、ニコニコ動画の隆盛と衰退に捧げた作品ではないか という意見があった。
私はニコニコ動画をほとんど知らないが、米津玄師の活動の経緯を見るに頷ける説だと思う。

砂の惑星は、字義のとおり、砂漠ばかりの不毛な惑星に人が住んでいるという設定で、キリスト教っぽいフレーズを絡めて、中2病を昇華させた世界観が展開される。
若者はいつまでも若者であるわけではなく、いずれ青春時代(=モラトリアム)を卒業して大人になっていく。

米津玄師が「砂の惑星」的な世界観から卒業して、ふつうのバラードっぽい歌手になっていくのかと思うと、あまりつまらない。
山下達郎は、今ではバラードっぽいものばかり依頼を受けて作るようになったが、「僕の中の少年」は一代傑作で、クリスマスイブ~アトムの子あたりの作品は、何ともいえない煌めきが溢れている。

創作や制作には脂の乗った時期というものがあり、ことマンガやポップスにおいては、普通 25~35才くらいまでに一定のピーク、一度目のフィナーレを迎える感じがある。
一般社会で「転職は35才まで」というのに通じるものがあるかもしれない。

ーーあまりまとまらない記事になりましたが、米津玄師のこれからの活躍をそこそこ楽しみにしつつ、ジョジョリオンキン肉マンの連載を読む。
仕事の合間の私生活はあっさりしたもので、これに、プロ野球観戦と家族まわりのあれこれを挟んでいるというのが、毎日の日常である。