ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

見えないものを可視化する  手塚治虫の「アラバスタ―」、「マンガの描き方」

「荒木飛呂彦の漫画術」に、絵とは何か、荒木先生が自説を述べるくだりがある。 ここで改めて、絵とは何か、という話をしたいと思います。 絵の本質的な役割は、見えないものを可視化して伝えることだ、と考えています。 描き手はいったい何を伝えたいのか、…

The Rainbow Children 40歳の節目に抱いた、極個人的な感想

(下記 ジョジョとは殆ど関係のない記事となり、申し訳ありません。プリンスのThe Rainbow Childrenを中心に、自らの思うところを述べた極個人的な記事です)今年の夏 めでたく40歳を迎えることができた。40歳という年齢は人生の折り返し地点を過ぎてお…

1890年 スティール・ボール・ラン 記者会見

最近、仕事と趣味を兼ねて、にわかに世界史を勉強し出している。宮崎正勝「スーパービジュアル版 早わかり世界史」という本が、最初に読んで面白かった本で、暗記事項の詰め込みだと思い込んでいた世界史から、「理解して、歴史の動きを捉える」面白さに目覚…

ジョジョリオン55話の感想、予想  漫画ゴラク・サンデーへの追慕

ジョジョリオン 55話、ダモカンと決着し、東方花都が登場するまでの話を読んだ。ダモカンとの戦いはスカッとする決着で、ゲスがゲスらしく振舞い、キッチリやっつけられるのがスカッとする。ダモカンが頭を貫かれて「ぺぎゃ」と呟いたり、双子の頭に木の枝…

ギーガーの「エイリアン」と、ジョジョのスタンドたち

「ブックオブエイリアン(the book of alien)」という本があり、映画「エイリアン」のさまざまなデザイン画、創作の裏話が掲載されている。メビウスによる宇宙服のデザイン画があり、一目で観て分かる素晴らしさですが、最も目を引くのは、H・R・ギーガーに…

ジョジョで後付け設定が追加され、矛盾が生まれるのはなぜか?

ジョジョを読んでいると、後付け設定が追加され、矛盾が生じることがたびたびある。有名なところでは、1部連載時 (ジャンプ誌上で)ツェペリさんの死に際で「自分には家族が居なかった」ことが語られたが、2部になって、孫のシーザーが登場する展開となり…

「プリンスのこの曲が、ジョジョのこの部分に影響を与えたんじゃないか?」 

ミュージシャンのプリンスが亡くなり、寂しい気持ちではあるが、生前に製作された楽曲が数多あり、ipod プリンスのプレイリストを、たびたび聴き返して楽しんでいる。プリンスとジョジョ、両者の作品をご存知の方には自明の事柄であるが、ジョジョ(荒木飛呂…

Wherever U go, whatever U do  プリンスの死去を悼む

4月21日 夏目房之介の「ドラゴンボール試論」(「マンガの深読み、大人読み」に収録)を読み、ペンギン村以来の鳥山明ファンが確かにいることに胸を熱くした後、同日の夕方 事情があり、仕事/生計に関わる大きな取引を急遽 手配した。(普段からインター…

ジョジョリオン53話 過去編が完結し、「無かったことにされるだろう伏線」を整理する

ジョジョリオン 53話、ジョセフミと吉良が壁の目で一体化するまでの話を読んだ。過去編の展開はとても面白く、2人の友情と信頼、経済ヤクザたるダモカンの迫力に恐々としながら引き込まれて読んだのだが、コミックス1巻~11巻まで描かれたエピソード、…

フェヒナーの法則と、不易流行

理数系の新書本を、雑学+中高科目の復習として、ときどき読み返すことがある。京極一樹 著「中学・高校数学のほんとうの使い道」という本があり、なるほどと思わされる一節があった。 「人間の感覚は刺激の対数に比例する。これをフェヒナーの法則という。…

「時よ止まれ、おまえは美しい」  /  ジョジョ7部・8部で描かれつつある、新境地について

ジョジョ3部 DIOに、「ザ・ワールド 時よ止まれ!」という決めゼリフがある。DIO(ディオ・ブランドー)は石仮面を被って人間を超えた吸血鬼となり、さらにスタンドを身に付けて、肉体・精神ともに「ブッチギリで、人間を超えた存在」になった。世界の全て…

ジョジョリオン52話 「信頼」 の感想

ウルトラジャンプ 50話の掲載号からは毎月買って、最新話を逐一読んでいる。ジョジョリオンの12巻も発売日に買って、あわせて読んで、ダモカン登場以来のテンションの高まりに面白く読んでいるところである。カレラ登場時のエピソードであったり、1巻か…

ジョジョとドラクエ 三部作の凄みを語る

ドラゴンクエスト2に続き、ドラゴンクエスト1、ドラゴンクエスト3をクリアするまで遊んだ。「ジョジョとゲーム」というカテゴリで、たびたびドラクエに触れてきたのですが、ジョジョとドラクエは、三部作で一つのサーガが完結するという共通点があるし、…

ゲームの名作、ドラゴンクエスト2

ドラゴンクエスト2(ファミコン版)を、発売当時以来 29年ぶりに再プレイした。実家に眠っていた古いファミコンカセットを探し出し、カセット端子の汚れを取り除き、中古品のファミリーコンピュータ(本体)を購入し、ようやくプレイすることができた。子…

マンガの基本4大構造から探る、ゲームの面白さと独自性

「荒木飛呂彦の漫画術」によれば、マンガには「基本となる4つの構造」があり、重要な順に、キャラクター、ストーリー、世界観、テーマ 4つの要素が存在する。これらは互いに影響を及ぼし合って存在し、これらを増幅し統括するのが絵とセリフである。マンガ…

ドクタースランプ→ドラゴンボール→COWA!へと続く、鳥山明作品の大団円

私事ですが、この春に自宅を購入することになった。30歳で結婚して、40歳で住処を固めてと、10年ごとに人生の節目が訪れている気がする。(50歳で行方不明、60歳で白骨化した遺体が発見される、という展開にならないよう気をつけたい)そんな折、…

ジョジョリオン 50話までの、ストーリーのアウトラインと、今後 気になる3つの「謎」

ゲームや映画の話題を離れて、ひさしぶりに、ジョジョリオンのことを書きます。ウルトラジャンプ 最新号が発売され、吉良とジョセフミが過去に出会ったときの話を読んだ。公園のベンチでジョセフミと吉良が語り合うシーンは印象深く、久しぶりに「カッコいい…

ゲームプレイの略歴と、ノスタルジーの検証

自分自身の好み・体験を振り返ろうということで、私自身が遊んできたゲームの略歴を、まとめてみました。年代順に、自分で買って遊んだソフトを箇条書きで並べています。カッコ綴じになっているのは、友達から借りて遊んで、印象に残っているソフトです。自…

MOTHER3 「END?」でそのまま終わってほしかったクソゲー

(本記事は、ジョジョとほぼ全く関係ない内容になっており、すみません。 否定的な感想を含むので、糸井重里氏とMOTHERシリーズの熱心なファンの方にもあまりお薦めではありません) *** WiiUのヴァーチャルコンソールでMOTHER3をプレイし、クリアまで遊…

「リンクの冒険」と「スーパーマリオメーカー」 / ジョジョのメディアミックスを概観する

引き続きヴァーチャルコンソールでレトロゲームをやり込んでいて、最近は「リンクの冒険」と「ロックマン2」をプレイしていた。リンクの冒険は、小学生当時 ビックリマンワールドと並ぶくらいの「やってみたかったが、結局買わないで素通りしたソフト」で、…

なぜ、ゲームは面白いのか? 「MOTHER2」への、微妙な感想

今 このブログを更新するのであれば、2015年12月17日発売「ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン」を語るのが本来のはずである。しかし、私はプレイステーション4を持っていないし、そもそもこのゲームを買うつもりが無い。新品で買えば7500…

27年ぶりにプレイした、「MOTHER」の思い出

極個人的に、私の中で、ジョジョと極めて近しい位置にあるゲームということで、MOTHERのことを書きます。(この記事で触れるのはMOHTER1、ファミコンで発売されたシリーズ初代作についてです)MOTHERは平成元年の夏休みに発売されたゲームで、…

デヴィッド・ボウイとプリンス

「ジョジョ立ち」と呼ばれる、いわゆるジョジョ的なポージング。中性的とも評される、男の色気を醸し出すヴィジュアルイメージ。荒木先生の発言によれば、それらのルーツは様々で、ルネサンス・バロックの大理石彫刻、アントニオロペスのファッションイラス…

複眼の映像ーー私と黒澤明

橋本忍氏の著書「複眼と映像ーー私と黒澤明」の記事です。ただし、私は黒澤明監督の映画を「七人の侍」「わが青春に悔いなし」しか観たことが無く、しかも「わが青春~」は祖父の家にあったホームビデオを借りてたまたま観ただけという、全くのニワカです。…

「幻の湖」 失敗の研究

(本記事は、ほぼ全くジョジョと関係がなく、すみません。荒木先生の生まれた日本、同じ国の先輩作家・橋本忍の「幻の湖」についての記事です。)橋本忍 原作・脚本・監督の映画「幻の湖」を観た。近所のお店でレンタルできないので、2000円弱のDVDを…

イーストウッドの「ダーティーハリー」

遅まきながら、クリント・イーストウッド主演「ダーティーハリー」を観た。「悪は倒すのは悪」という記事の末尾で引用させていただいた通り、イーストウッドのダーティーハリーは、承太郎をはじめ、荒木作品のヒーローの原像となっているとのこと。承太郎は…

「総員玉砕せよ!」 女郎の歌と、生きるための戦い

水木しげるの「総員玉砕せよ!」を読んだ。ペーソスあふれる太平洋戦記で、作者によれば90%が実話であり、かつ、自身がいちばん気にいっている作品であるという。登場人物が急に出てきて死んだり、妙にリアルな似顔の登場人物が出てきて、おそらく、実際…

「ウラのウラはオモテ」  XTCが体現する、イギリス的価値観

ジョジョ、荒木作品の根底にあると思われる「ブラックユーモア」、「イギリス的価値観(English Settlement)」についての断片的なメモです。ジョジョと、その周辺にある諸作品(極個人的な意味で、自分の経験・感性の中で、近しい位置にある諸作品)を語る…

Wrapped in Grey  「疑惑の影」に見る、杜王町の面影

連休の間に、親戚からディープな人生相談を受けることがあった。 当事者ではないので結論を決めることはできず、客観的な意見やアドバイスは行ったものの、 トラブルがどう収束するかは、当事者同士にゆだねることしかできない。 何とも苦しい、やきもちした…

ストーンオーシャンを巡る連想、あれこれ

ストーンオーシャンを巡る連想、あれこれの雑記です。・ジョリーンがプッチ神父と戦って死ぬ時、蝶が群れをなして飛び立っていく。これは、ジョリーンたち主人公の魂の暗示であり、「胡蝶の夢」を連想させる幻想的な演出でもある。新世界に蟻一匹がたどり着…