ジョジョ読者のブログ

ジョジョの奇妙な冒険の感想、批評、考察を書いています。

ジョジョの奇妙な冒険はどんなマンガなのか どんな敵が強いのか、何と戦っているのか を概観する

ジョジョの奇妙な冒険は、バトルの積み重ねを通じて主人公たちの成長を描く少年マンガである。

かならずしも広い世界を旅して回る冒険ストーリーとはなっていないが、主人公たちが困難に出会い、難局に打ち克っていく姿を通して成長していくストーリーは、1部から9部まで一貫している。
危険を冒し、強くなっていく という意味で、冒険ストーリーを40年近く描き続けている。

各部で描かれたバトルがどんなものだったか、いわゆるラスボス、最後の強敵はどんな敵だったのか 1~9部を通して概観した。

 


1部 
強い生き物。人間ではない。 弱肉強食の強者。美形の魔少年、頭が切れ、カリスマ性とハングリーさ(ゲスさ)を持つ
吸血鬼にはルールがある

2部 
究極生物。1部より、さらに強い生き物


1部2部で肉体の究極を極めた後、3部からは、知力、精神力、人間性(凄み、哲学)を競うスタンドバトル。 

北斗の拳的な絵柄を脱し、少年ジャンプのインフレバトルと違う基軸を得て、荒木飛呂彦の作品世界を開花させていく。


3部 
100年前の先祖からの因縁。 時を止める能力は、世界を支配する能力。

心を読む能力、空間を操る能力、時間を操る能力。 DIOの館以降の戦いで、特殊能力の究極3選 を扱っている。

3部の時点で、ある意味、スタンド能力は究極に行きついている。物語のテーマも終わっている。
4部は、3部でこぼれおちたモチーフ、描き切れなかったアイデアを描く番外編として構想された。

 


4部 
町に潜む影。人の心の弱さが表れたもの。 
犯罪の証拠を隠すために爆破する、時を戻す。 内面の弱さの正当化が、悪事の正当化に転じる


5部 
運命を操作するギャングのボス。主人公たちに立ちふさがるカベ。時間能力の概念としては、こじつけっぽく複雑。 
チャリオッツレクイエムは、天変地異。物語の終盤、スタンド能力のさらにその先、もっとスゴイ何かを見せたかった

6部 
キリスト教とディオ(悪魔)。2つの教えを背負うことで、神父が世界を書き換えることに説得力を持たせようとしている。 
ホワイトスネイク 魂(DISC)を操る白ヘビ。神のような能力を持つ神父が、物語を通じて、3段階でパワーアップしていく。 
時を進める能力で、1部から続く物語を崩壊、再生、総決算した


5部の後半、6部全編を通じて、物語が観念的になり、スタンド能力がややこしくなる。 
特殊なシチュエーションに主人公たちが放り込まれ、運命論を語りつつ、難局から脱出するエピソードの連続になってくる。
炎vs剣、水vs拳 3部の頃のシンプルさから、ずいぶん遠いところに来た。

7部からは新世界となり、ディオとジョナサンの因縁は無くなって、旧世界のモチーフを踏襲しつつ、いま、作者の描きたい物語を描いている。

人間賛歌、スタンドバトルという2つの骨子 アラキマンガの大黒柱はそのままであり、ジョジョのタイトルを引き続き名乗っている。

 


7部
大統領は、祖国を守るため自ら戦う。 聖人の遺体を得ることで、世界を支配し、因果を操る能力に説得力を持たせている。
SBRレースを通じて遺体のパーツを集め続け、エピソードの積み重ねと共に遺体が集まっている。展開と伏線の積み重ねが、ラブトレインのトンでもない強さに説得力を与えている

D4C はじめ 空間を操る能力の発展形、次元を操作する能力として登場したが、壮大すぎて扱いきれず、次元を行き来する能力に変更された


8部
東日本大震災、新型コロナウィルス。紛争、戦争。身の回りの人たちが亡くなる不幸。 因果がもたらす不条理を、厄災として、取り扱う。
透龍くんは、厄災の流れを都合よく扱っているが、厄災そのものを生み出している訳ではない。大きな流れの渦に寄り添う泡沫の存在、フリーライダー


9部
社会の不条理。 主人公は大富豪になり、反社会性パーソナリティー障害とされる自分自身に基づきつつ、生きる道を切り開いていきたい。 
主人公たちに立ちふさがるカベが、社会の不条理。